第1198話 シレットの身辺
「貴方の親族がブント側……確か前にそんな事を言っていたわね、そしてそれを断ち切るのにスターも協力したのよね」
「ええ、最もそれが出来たのはあの間抜け共が其の事に気付いていなかったというのも大きいのだけど」
コンスタリオの発言に空狐が返答すると其の中に明らかに暴言的な発言が混入していたが、敢えて触れずに話を先に進めていく。
「つまり、私の親族にも何か影があるのかも知れない、そういう事なのでしょうか?
でも私の親族は私自身にも良く分からない部分があるんです。
いえ、正確に言えば幼少期にこの様な事態になった為に私自身しる術が無かったと言うのが正直なところですが」
「確かに其の通りかも知れません、ブエルス防衛部隊に入隊する際に身辺を調査した際、彼女の身辺は幼少期が全く分かりませんでした。
分かっているのは親族に引き取られたと言われている期間からですが、其の親族も最初の故郷と同じくブントの襲撃で命を落としている為、それ以上の事を知る事は出来ません」
「シレットが二度故郷を失っているのは本当よ、私達も其の話は聞いているもの」
シレットが親族についての話をするとブエルス司令とコンスタリオが言葉を続ける。
それは天之御達にとっては初耳となる話だが、それを敢えて本人ではなく彼等が先に話したのは無論シレットの古傷を抉る様な事が無いようにする為の配慮であった。
其の事は気付いているのか、天之御は
「別に其の点を確認するつもりはないよ、只、其の二番目の親族の方について、そして其の故郷について何か話せる事はある?
もし話してもらえるのならもしかしたら僕達の方から何か分かるかも知れない」
とシレットに問いかけ、それを聞いたシレットは
「気持ちは嬉しいのだけど、私自身も余り覚えていないのよ。
分かっているのは北大陸の何処かで且つ比較的ブエルスに近い場所にあったという事だけ。
北大陸なのは周囲の会話から、ブエルスに近い事は襲撃を受けた際に私を助けてくれた兵士が一目散にブエルスに向かっていったことから予測出来た事です。
最も、それだけだと何らかの術を用いられた可能性もありますが」
と淡々と返答する。
否、一見すると淡々と話している様に見えるものの、其の話し方は内心に抱いている不安や動揺を感じさせない為に意識しているようにも見える。
だがそれは周囲から見ていると何処か痛々しさを感じさせもする。
「北大陸で襲撃を受けた街か、それならかなり絞り込めるかもしれない」
シレットの話を聞き、天之御はこう返答する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます