第1197話 シレットの謎
「その後、ブントは破壊したタウンを再興する事もなく現場の提案という形でタウンの放棄が決定した。
其の跡地は完全に荒れ果てており、西大陸のブント部隊すら近付かない程になっていたよ」
「なっていた……と言う事は今は違うのですか?」
「否、今も荒れ果てているよ……只、西大陸のブントを叩き出したお陰で園周辺を調べられるようになったってだけ。
勿論早々に調査をお願いしたけど破壊しつくされたタウンは現在もそのままであり、新しい発見、情報を得る事は叶わなかった」
シレットに促され、天之御は尚も話を続ける。
だが其の顔はやはり何処か暗く、何時もの覇気は感じられない、それだけこの一件は天之御の内心に強く刻まれているということなのだろうか。
「自分達が作り出したタウンであるにも関わらず地図からも抹消される程に徹底的に破壊、更にその後の再興も全く行われずに荒れ果てる……
となるとブントにとっては其処に余程見られたくない何かがあったって事なんでしょうけど、どうにも引っかかるわね」
「一体何が引っかかるって言うんだ?俺には至極繋がっているようにしか思えねえが……」
「何故殲滅までする必要があったのかという点よ。
これまでのブントの動き方から考えれば目立つ地上のタウンに見られたくない物を置いておくとは思えない。
其のタウン事態がその見られたくない物なのであればまだ辻褄は合うけど、そうなると今度は其処にシレットが居たという事実が説明がつかなくなる。
もしシレットが単なる部外者であれば何故ブント側のタウンに居たのかと言う話になるし、一方でシレットの親族が魔王陣営なのであれば魔王の言っていた裏付けは直ぐに取れるはずでしょう」
ここでコンスタリオが唐突に現状発生した疑問点を指摘し、モイスがそれに対し返答を行うとコンスタリオは其の問題点を明確に口にする。
「確かにそう考えると妙な話にはなりますね、一応告げておきますともし其の子の親族がブント側なのであれば襲撃時に間違いなく見の安全を確保しようとする筈です」
「つっ!!おい!!」
「良いのよモイス、確信を持ってそう言えるという事はそっちには居るんでしょう?」
岬の発言に対しモイスは無神経な発言をしたと思ったのか少々熱り立った声を上げるが当のシレットはそれを静止しつつも魔王陣営に対し何かの確信を持った様な目を向ける。
「……其の通りよ、私の親族がブント側だったの、私も下手をすれば引き込まれていたかも知れないわ」
シレットの発言にこう答えたのは空狐であった。
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