第1174話 止まらぬ、待てぬ足

「つまり、ブントの部隊は其の新戦力が何なのかまでは知らなかった、否、もっと言ってしまえばその指示を出した上層部すらも。

これはさっき殿下も仰っていた事ですが、こうして考えると改めてその可能性が高くなったと言えますね。

そしてそれ以上に気になるのがこの兵器、一体そもそもは何の為に作られ、そして何処で今も其の数を増やしているのか……」

「やはりコンスタリオ小隊が向かった発掘現場の中なのでしょうか?」

「其の可能性も考えられなくはありませんが、其処だけではないかもしれません、もしあの発掘現場だけなのであれば今回の襲撃で二つの大陸に同時に出現した理由の説明としては弱すぎます」

「それは転移魔術のシステム化を行えば……否、それにしたってあの数が同時に出るとなると相応に大きな魔術反応が感知出来る筈、となるとやはりそれぞれの地下で生産された、或いは少なくとも連絡通路のような物が存在していると見るべきだろうね」


天之御の出した根拠に対し他の一同はそれぞれ感想を述べ、疑問点は複数の大陸に同時に、且つ大規模な部隊として出現したという事実に絞られていく。

するとそこで霊諍が


「其の連絡通路の様な物についてですが、以前から何度か調査されていたこの地殻の地下遺跡が何らかの形で関与しているという事は考えられませんか?」


と唐突に告げる。


「地下遺跡が?まあ、確かに其の可能性も考えられなくは無いけど。

調査自体もまだ道半ばだし何か未知なる脅威が潜んでいても可笑しくはないわね」


岬がそう返答すると天之御は


「又近い内にガサ入れをした方が良いかもしれないね、どの道他に調べられそうな所も現状無い訳だし、じっとしている訳には行かないという意思表示で行ってみるべきかもしれないね」


と其の考えに賛同する。

するとその時秘密基地内の警報装置が作動し始める。


「警報装置が作動した!?一体何が起こったの?」


涙名がそう叫ぶと霊諍は


「直ぐに確認します!!」


と言い、司令室に内部通信を繋ぐ。

そして通信が繋がると直ちに


「この警報は一体何?何が起こったのか確認して!!」


と司令室に居た面々に指示を送る。

すると司令室に居た面々は


「現在確認中です……判明しました!!近くの地下遺跡に設置したレーダーに熱源反応多数!!反応パターンから先日殿下達から調査を依頼された兵器と同型、或いは同技術を使用して建造された物であると考えられます」


と告げる。


「どうやら、あちらさんから来訪してくれたみたいね」


星峰が少し皮肉交じりにこう話す。

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