第1173話 根拠の正体
「此方が其の問題点です、この兵器にプログラムされている指示部分にそれが現れています」
霊諍はこう続けると前の画面に其の問題点らしき部分を表示する。
「これがあの兵器に組み込まれているプログラムですか、しかし見た所只のプログラムであり、特別問題があるようには思えませんが」
「ええ、一見するとそうなのです、ですが細部に目を向けると其の問題部分が露呈します。
この優先順位についての部分を探っていくと……」
霊諍はそう言うと問題部分を絞り込んでいき、そのまま画面に問題箇所を表示する。
「ここに書かれている指示文、これを良く見て下さい」
霊諍の其の言葉に一同の目は画面のその文章に釘付けになる。
そして少しの間が空いた後
「これは……確かに問題がある指示が優先順位上位にきているわね」
星峰がそう口にして頷くと他の面々も一様に首を縦に振って頷く。
「ああ、この文章に書かれている通りであればこの兵器は近くにいる生命を無差別に殺傷する様にプログラムされている事になります。
それも優先順位が非常に高い部分の命令としてプログラムされている、これでは近くにいる生命を所構わず殺傷したという空狐や八咫、岬の話も最もです」
豊雲が文章を見た感想を述べると霊諍は
「ええ、只、これは個人的な感想になりますが、この文章のプログラム順位と武装、機体の能力や行動パターンから考えるとこれらの兵器は本来は侵攻よりも拠点防衛に主軸をおいて開発されたものではないかと思います」
と自身の考えを添えて問題点がこの文章である事に根拠を示す、すると涙名が
「確かに拠点防衛であればこのプログラムも上手く機能するだろうけど、だとしたらブントは其の事に気付かないままに戦力として投入しようとしたって事になるね」
「確かに無茶苦茶な話かもしれないけど、上層部すらもこの事に気付いていなかったとしたら可能性としては考えられるよ」
と疑問を呈するがそれに対し天之御がこう即答する。
それに対して涙名は
「天之御がそう思う根拠は?勘って訳じゃないんでしょ?」
と確認する様な口調で更に問い返し、それを聞いた天之御は
「勿論だよ、今回の一件を兵士達が調査してくれた際、色々と分かったんだ。
ブントがそれぞれのエリアで戦力を補充しようとしているって事が、だけどその詳細までは伝えられていなかった。
只立ち止まるのではなく、其の場所で先導して新兵器を連れて行く様に指示していただけだとね」
と其の根拠を告げる。
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