第1168話 それぞれの身の上

「一寸待って!?ブントが身内に居たって……」


星峰が顔を見逃さなかった事を察したのか、それとは関係ないのかは分からないがシレットは引っかかりを覚えた言葉を口から外に出す。

隠し通せないと思ったのだろうか、それとも……

一方、それを聞いた空狐は


「ええ、私の血族は皆ブントの構成員で其の目的に協力していたわ。

そしてゆくゆくは私も其の目的に協力させるつもりだった、殿下からブントの事を聴き、そしてそれに協力する決意を固めていなかったら今ここに居なかったかもしれないというのは否定出来ないわね……」


と半ば自虐とも嘲笑とも取れるような口調で返答する。


「そんな事があったのね……もし良かったら其の話、聴かせてくれない?

勿論無理にとは言わないけど、今後の為に余計な引っ掛かりを残しておきたくもない」


コンスタリオがそう尋ねると空狐は


「構わないわ、少し長くなるけどね」


と返答し自身の身の上の事を話す。

途中天之御や星峰の解説も交えつつコンスタリオ小隊は空狐の身内の一件について知る事となる。


「生命を実験道具に……ブントがそうした事に手を染めているのは知っては居たけど……」

「自分の娘、家族まで意に沿わなければ其の実験台にしようとする……改めてブントって組織がどれだけ腐ってんのかって事がわかるってもんだな」


話を聞き終わるとシレットとモイスは改めてブントに対する怒りを顕にする。

身内まで利用しようというのは彼等にとって到底納得し難い事の様だ。

いや、その実験や謀略に星峰を、スターを巻き込んだという事に対する怒りもあるのかもしれない。


「結果として私を巻き込んだ事で空狐の血族からブントは一掃され、其の情報は私達の元で活用出来る事になったわ。

でもこれでブントを放置しておく事がどれだけこの世界に害を齎すかというのがわかるという物よ」


そう言い切る星峰にコンスタリオ小隊も首を縦に振って頷く。

其の言い切りに納得したという事だが無論星峰が言ったために納得したという訳ではない。

内心で確かにそう思ったからこそ納得しているのである。


「さて、今回のブントの行動とその後に続く先史遺産の兵器の襲撃、それらを阻止されたブントは次にどう動いてくるのか……

場合によってはそれがブントとの決戦になるかもしれないね」


涙名がそう言うと其の場にいる全員が緊張感が高まるのを感じる。

他の面々も薄々そう思って入るのだがこうして口に出してみるとそれが改めて現実であると痛感せざるを得ないからである。

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