第1169話 背後に潜む悪意

其の頃、一同とは又異なる場所において


「ええい……又しても奴等の始末に失敗したのか!!そればかりか貴重な戦力の事まで知られた挙げ句回収までしくじるとは……」

「虎の子のあの兵器を開放した以上、それを用いた作戦が失敗したとあっては我々の立場も危ういものになりかねませんね」

「何を他人事の様に言っておるのだ!!あのお方の名で持ち出した兵器の事を知られた以上、既にこの上ない失態を犯しているというのに!!」


内容から明らかにブントの構成員、それも上層部が話しているのは明らかな内容の会話を行っていた。

其の会話はある者は明らかに声を荒げ、又ある者は明らかに冷静さを保っていた。

通常の会議であれば冷静さを保っている者の方が評価されるだろう、だがこの場においてはそれはどうやら違う様だ。


「其の通りだ、如何なる言い訳を並べようともこれ以上あのお方のお怒りを買う訳にはいかん」


冷静さを保っている事を言い訳、或いは嫌味であると解釈している様だ。


「しかし、あの兵器はどうして此方側の兵士を攻撃してきたのです?あれがなければ我が方の犠牲は抑えられた筈です」

「それについてだが、どうやらあの兵器は周囲に存在する生命を躊躇い無く無差別に攻撃するようなプログラムが組み込まれている様だ。

つまり、あの兵器は本来有人との共闘を視野に入れて開発されていない兵器という事になる。

恐らくあのお方の作り出した兵器は少なくとも当初、それだけで機能する兵器として開発されたのだろう」


ブントの一人が兵器の暴走について語り出す。

どうやらあの兵器がブントの兵士に対し攻撃を仕掛けたのはブント側にとっても想定外の出来事だった様だ。


「つまりあのお方はあの兵器を忌々しい魔王と其の協力者の元に案内し、其の上で兵器の戦力を使って殲滅せよという事を暗に示していたという訳ですか」

「ああ、そういう事になるな。

だが奴等の妨害によりそれは失敗に終わったばかりか逆に此方の首を締める結果となった」

「奴らめ……一体どの様な方法で我等の計画を察したというのだ!!」

「何らかの形で情報が外部に漏れたと考えるべきでしょう、最もそれがどの様な形七日は現時点では絞り込めませんが」

「ああ、何しろ殆どのタウンを魔王陣営に制圧されている以上、我等の計画も又、何時何処で漏れても可笑しくはない。

だとすると今回の作戦も魔王陣営は此方の情報を掴んだ上で罠を仕込んでおいたのでしょう。

最も、兵器があの様な行動をするという事については流石に予想外だったのでしょうが」


どうやら今回の作戦はブントの背後に居る存在が糸を引いているようだ。

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