第1166話 境界線の場所
「……そうね、今はそう考えさせてもらうわ。
それに彼女の反応から彼女が貴方達が言っていた処置を施されているのは粗確定事項となったと言える」
「という事は、やはり彼女が発掘現場内の施設に現れた理由はその点に有るという事だね」
「ええ、恐らくはブントにとっても都合が悪い物となりかねない件の兵器の回収或いは破壊が目的だったのでしょう」
「本来は回収したい所だったが、あまりに兵器が危険すぎる為に破壊も已む無し、そんな所か」
一同の会話からアンナースが件の施設に居た理由、そしてその裏にあるブントの意図には薄々気付いている事が伺える。
「ところで、一つ聞いておきたいことが有るのだけど……」
「何?答えられる話であれば答えるよ」
ここで唐突にコンスタリオが天之御に対し質問を投げかける。
それに対する天之御の返答は周囲の面々、否自身の配下に対するそれと全く変わらない信頼を感じさせるものであった。
それだけコンスタリオ小隊を信頼しているということなのだろう。
それを感じ取ったのかコンスタリオは
「今回の一件について貴方達はブント側の部隊の意図を事前に見抜き、それに対する対策を予め投じていた。
けどここでどうやってブント側の部隊の意図を掴んだのかという疑問が出てくる」
「それだったら総司令官が配下を経由して……」
「ええ、その点についての疑問は解けたの、けどその兵士がブント側の兵士である可能性も当然否定しきれるものではない筈。
にも関わらず魔王陣営の兵士であると判断出来た理由は一体何処にあるの?」
と空狐の解説を合間に挟みつつ天之御に対し質問を投げかける。
「つまり、魔王陣営の兵士とブント側の兵士をどうやって見抜いたのか、その点を聴いておきたいという訳だね」
「ええ、まあ私達がそれを知ってどうするのかという点も有るのだけど、気になった以上はね」
コンスタリオの質問の意図を察したのか、その質問に対し笑顔を向けつつ答える天之御。
それに対しコンスタリオも
「ええ、そういう事よ。
もし見分け方を知っていれば今後どの魔神族と戦えば良いのか分かり、無駄な殺生を避ける事が出来るかもしれないからね」
とその意図を口に出す。
すると天之御は
「分かった、教えてあげるよ。
と言ってもこれは僕の父の代からの取り組みを受け継いだだけなんだけどね」
と返答する。
「父の代から?」
シレットが一瞬その言葉に食いつくものの、それはコンスタリオに
「父親のお話は後にしてね」
と直接釘を差されそれ以上聞く事を断念する。
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