第1147話 西大陸終結、東の残照へ
既に空狐の手によって粗方の兵器が一掃されていた事もあり、援軍が途絶えた兵器は烏合の衆として瞬く間に殲滅されていく。
空狐が来てから殆ど戦力になっていない状態であった兵士も生き延びるためなのか懸命に戦い始める。
「殆どの兵器は破壊出来た、後数機、ここまで追い込めば!!狐妖術、漆黒の落雷」
そう叫んだ空狐は手にした剣の先端からその名の通り黒い雷撃を放ち、その場に残っていたまだ動く兵器に当てて殲滅する。
こうして兵器を全て破壊すると
「さて……兵器は居なくなった事だし、戻って今回の一件のお話をしましょうか」
と言いながら空狐は兵士の方を振り向き、その顔に笑顔を浮かべる。
だがその笑顔は決して屈託ない無垢な笑顔という訳ではない。
寧ろその裏側にどす黒い思念が隠されている、そう考える方が容易い顔であった。
「は、はい……」
その顔を見て観念したのか、兵士の顔にはポツリと零した返答と共に諦めの様な表情が浮かぶ。
それを見て空狐はどこか納得した様な表情を浮かべ、兵士を集めて転移妖術を発動させる。
負傷した兵士も動ける兵士に担がれて集まり、その場に残っている兵士は皆無である。
ここで自決するという選択肢は無いのだろう、いや、もしその選択肢があったとしても今の兵士達がそれを選べる状況では無い。
この状況でそれを言えば空狐は兵士達を引き摺ってでも連れ帰ろうとするだろう。
今の空狐の雰囲気はその空気に満ち溢れていた。
そして転移妖術が発動し、空狐と兵士は何処かへと転移する。
一方、東大陸で交戦している八咫、岬ペアは未だ増え続ける兵器の中で劣勢に立たされていた。
「くっ、このままじゃ埒が明かねえ……それにこの兵器の強さ、これまでの兵器とは明らかに違うぜ、一体何処からこんなに湧いて出てきやがるんだ……」
「それよ!!この兵器が何処から出現しているのかを特定してその出入り口を塞がないとこのエリアからの離脱は不可能……もう少し早くその考えに至るべきだったわね……」
ここで漸く岬が空狐が状況を好転させるきっかけとなった発想に行き着く、そしてその発想の通りに周囲を見渡し、兵器が何処から出現しているのかを調べ始める。
すると大破した移動車両の近くから兵器が湧き出ているのが目に入り、それを確認した岬が
「彼処よ!!あの大破している車両の近く、彼処から兵器が次々と出現しているわ!!」
と叫ぶと八咫も
「ああ、俺も今確認した、彼処を塞ぐのを急ぐぞ!!」
と言ってその場所へと駆け抜けていく。
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