第1144話 東大陸の惨状

同じ頃、東大陸に転移した八咫と岬も又、同じ様に現地に急行していた。


「現地の映像は乱れていない……やはり映像は技術的、或いは魔術的な要因によって乱されているのね」

「現実の視界が乱されるのは蜃気楼位のもんだ、それじゃねえって事は現地で何が起きてるか分からねえ、急ぐぞ!!」


足早に現地へと向かう八咫と岬、すると少し前に黒煙が上がっているのが目に入り、それを確認した八咫は飛翔して先行する。


「八咫!?飛翔して大丈夫なの?」

「分からねえ、だけど今は急がねえといけねえんだ!!多少の危険は承知の上だ」


心配する岬に対し力強く返答する八咫、それに押し切られたのか、納得したのかは不明だが岬の表情も心配が払拭された安心感が感じられる顔になる。

先行した八咫が黒煙の上がっている場所に到着するとそこではブント部隊の兵士が兵器と交戦している光景が目に入ってきた。


「ブント部隊が兵器と交戦中か……それは理解出来たがあの兵器は一体何だ……」


八咫がそう呟いた瞬間、兵器は八咫に向かってビームを飛ばしてくる。

それを回避すると八咫は


「ちっ、問答無用って訳か!!まあ、そうでなきゃ兵士と交戦したりしないわな」


八咫はそう言うと羽を自らの手で毟り、その羽根を剣に変えて兵器に向かって直進し切りつけて両断する。

それを見た兵士が其の場にへたり込むとそこに遅れて岬も現れ


「八咫、此処で一体何が……」


と言いかけるが其の直後に背後から兵器が岬目掛けて飛びかかろうとする。


「!?つっ!!」


ギリギリでそれに気付いた岬が回し蹴りで兵器に反撃し、兵器を地面に叩きつけて中心部分を大破させる。


「この兵器がブント部隊を襲撃しているって訳ね……まあ、其の点は一旦は置いて置くとして、此処で何があったの?」


そう言うと岬は視線を其の場にへたり込んでいる兵士の方へと向ける。

其の顔と目、口調は一見すると優しそうではあるが、その奥からは怒りや疑問が滲み出ている、そういった雰囲気を醸し出していた。


「わ、分かりません……突然移動車両が動かなくなったと思ったらいきなり周囲からあの兵器が現れて……それで無我夢中で交戦していたので……」


兵士は何処か覚束ない返答でこう答える。

その様子は車両故障については思い当たる節があるものの、兵器については全く思い当たる節がないと行った印象をうけた八咫は


「そうか……で、あの兵器によってどの位の被害が出ている?」


と兵士に問いかける。

すると兵士は


「既に此方の兵器は全滅、兵も大半が負傷しています……」


と弱々しい声で返答する。

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