第1140話 乱れる戦場
「まあ、その通りではあるんだけどね。
流石にブントもこれ以上の醜態を晒したくは無いだろうし、何より戦力を浪費するようなことをすれば僕の権限で雷を落とされるのは分かりきっている事だ。
だからこそ釘を刺した上で泳がせてみたんだよね」
さらっと告げる天之御であるが、その顔は寧ろ雷を落としたい様にもみえる悪戯っ子の様な、真剣な様なと言う印象の表情を浮かべている。
その本心は周囲に居る側近達すらどこか計りかねているような、そんな印象を受ける。
そんな中空狐だけは
「全く……天之御は昔からこういう所があるのよね、悪戯なのか本気なのか良く分からない印象でとんでもない事をしでかしたり目論んだりするんだから」
とこの状況に対する苦言を呈する用な発言をする。
だが天之御の表情は変わらず、意に介さずと言った印象だ。
それについて空狐はどこか呆れた顔を見せつつも密かな笑みを浮かべる。
だがその笑みが消えるのはその直後の事であった。
件の東大陸、西大陸の部隊の反応が消失したのだ。
「!?どういう事なの、西大陸と東大陸の部隊反応が略同時に消失したわ!!」
岬がそう叫ぶと一同は直ちに戦況を表示する画面に目をやる。
すると岬の言う通り、確かに東大陸、西大陸のブント部隊の反応が消失していた。
「確かに妙な話だね……それぞれの部隊の動きが少し鈍くなってきたからそろそろ件の細工を発動させはしたけど、それは反応を消失されるような効力は持っていない。
星峰、画面に表示されている映像を衛星からの映像に変更出来る?」
「今やっているけど……駄目!!衛星からの映像も乱されてる。
しかもこれは機器の不具合じゃないわ、明らかに現地から何らかの妨害を受けて映像を乱されてる。
恐らくは妨害電波か何かの類だとは思うけど……」
天之御の要請を受け、星峰は直ちに衛星からの映像を表示しようとするが衛星からの映像も乱されており、その確認をする事が出来ない。
「星峰の言う通りね……映像が乱されていてこれでは確認を取る事が出来ない。
こうなると現地の状況を確認するには……」
「直接出向くしかねえって事か……なら俺が東大陸に向かう!!」
空狐が現状を確認する様な発言をすると八咫が強気な口調で断言し、
「なら西大陸には私が向かうわ!!一応土地勘もそれなりにあるから対処しやすいと思うわ」
と空狐も続ける。
「なら私は……」
「いえ、星峰と涙名は殿下とともにここに残って、左右の大陸については私達が対処してみせるから」
星峰が行き先を選ぼうとすると空狐は大声でそれを静止し、ここに残る様に告げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます