第1139話 もう一つの視点

「どういう事?西大陸と東大陸の部隊は貴方達が殲滅したのではないの?」


コンスタリオがこう問いかけると天之御は


「最終的には殲滅したよ、だけど其処に至る迄の過程が問題なんだ。

何故なら僕達が殲滅したのはブントの部隊ではなく、ブントの部隊を殲滅させた先史遺産の兵器なのだから」


と返答し、その内容に人族側の面々は困惑した表情を浮かべる。

これまで先史遺産の兵器がブントを襲った事は一度たりともなかったからだ。

その返答に対しシレットが


「先史遺産の兵器がブントの部隊を殲滅した!?一体どういう……」


と動揺した声を上げるが


「シレット、それを今から説明してくれるのだろう。

動揺するのも分かるが話は最後まで聞くものだ」


と司令に諭された事で冷静さを取り戻し話を聞く体制を取る。

シレットの動揺が収まったのを確認すると天之御は


「今回の作戦においてブントは西大陸と東大陸において僕達がまだ発見出来ていない地下施設から先史遺産の兵器を送り込む手筈になっていたんだ。

だから僕達はその場所を炙り出す為に敢えて作戦を実行させた、そうすればボロを出してくれると思ったからね」


と話を続け、そこに空狐が


「勿論奴等が今回の作戦で使用した移動手段や自前の兵器には細工を施しておいたわ、その合流地点を特定出来た所で遠隔操作で動きを止められるようにね」


と言葉を続ける。


「ところが、その直後に私達も予期しない事態が起こったの……」


岬はそう前置きをすると何が起こったのかを話し始める。


~作戦中 魔王サイド~


「出撃したブントの部隊は何処に向かっているの?」

「表面上は何れもキャベルに進行するコースを取っているように見えますね」

「全く以て白々しい話だぜ、戦乱を一気に集結させるチャンスなのでキャベルに大部隊で進行する許可を下ろして欲しいなんてな。

まあ、言っている事自体は理解出来なくもねえけどよ」

「ええ、確かに現状でキャベルが陥落すれば人族部隊は最大の砦を失う事となり、南大陸は分断される事となる。

その状態ではまともに人族と魔神族が交戦する事は出来ないでしょう、何しろ戦力差が圧倒的なのだから」


ブエルス、謁見の間において天之御達は口々にブント部隊の行動について文句とも嫌味とも取れる発言をしていた。

どうやら作戦事態は一応上層部の許可を取った形になっていたようだ。


「一方で気になるのが東大陸と西大陸だ。

仮に大部隊を進行させるにしてもブエルスと北大陸の戦力だけで事足りる筈なのに何故東と西からも進軍させるのか……そこが気になるからこそ許可を出したんだろ」


八咫がそう呟くと天之御は首を縦に振って頷く。

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