第1141話 大陸の現状

「え……だけど……」

「正面の攻撃部隊には最悪の場合コンスタリオ小隊が組み込まれてしまう可能性だってあるのでしょう、だったら彼女達を止める為の役割は貴方達が担うべきだし、その責務もあるわ!!」


空狐の発言は予想外だったのか、星峰が珍しく困惑した声を上げる。

それに気付いたのか居ないのかは不明だが、空狐は先程の強い口調のまま更に言葉を続け、星峰と涙名がここに残るべきであると語った理由を述べる。


「分かったよ空狐。

星峰、涙名、君達は軍属ではなく協力者だから僕の権限を持ってしても君達を強制的に従わせる事は出来ない。

だから魔王としてでなく、個別の生命としてお願いする、僕と一緒にここに残って正面の攻撃部隊に対処して欲しい」


空狐の真意を知った事でその本気度を感じ取ったのか、天之御は二人に対しそう告げて二人の顔を見つめる。

するとその顔に圧倒されたのか、二人は特に何も反論する事なく静かに首を縦に振って頷く。


「よし、決まりだな。

俺は東大陸に向かう、只、土地勘がねえから岬も同行してくれねえか」

「分かったわ、最も今回の場合、土地勘があるからどうこうという話じゃないような気もするけど……とにかく急ぎましょう!!」

「私も急ぐわ、この胸騒ぎ……ただ事ではな何かが起こりそうな、そんな気がするの」


空狐、八咫、岬の三人がそれぞれこう告げるとその場に転移妖術の紋章が出現し、一同はそれを潜って転移し目的の大陸へと移動する。

先に到着したのは、と言っても略同時ではあるのだが、西大陸に向かった空狐であった。

現地に到着した空狐は周囲を見渡し、その光景に異様な雰囲気を覚える。


「これは……映像は確かに乱れていたけど現地で砂嵐が起こっている訳ではない、いえ、それは当然なんだけど只それだけでは説明出来ない何かがここで起こっている、そんな雰囲気があるわね……早くブント部隊を見つけ出さないと」


現地の状況が確認出来なかった為、目標地点を少しずれて転移してしまった様だ。

周囲にブント部隊が見つからない事がそれを物語っている。


「ブント部隊に何が起こったのか……そしてそれが私達にも災いを齎すのか、その点を早く分析する為にも急がないと」


空狐はそう呟くと反応が感知されていた地域へとその足を走らせる。

そして暫く経って問題のブント部隊らしき兵器を発見し、それに近寄っていくが既にその兵器は破壊されており、その周辺に転がっているのは兵器の残骸らしき物と負傷した兵士であった。

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