第1126話 動き出す兆し

それが終わるとコンスタリオと天之御は


「この施設の記録と生命の解析結果、これらを照合するとやはり厄介な事になる……

だけどこれでかなり核心に迫る事が出来たのも事実、果たして今後どう動くべきか」


と別々の場所にいるにも関わらず又しても言葉を一致させる。

そしてそれぞれ端末の電源を落とすと部屋の中にいる面々の顔と向き合う。

その後、先に口を開いたのは


「恐らくそう遠くない内にブントと雌雄を決する事になるんだろうね」


と言った天之御であった。


「ええ、それもこれまでにない規模の様々な戦いとなるのでしょう、いえ、或いはすでにその前兆が起こっているのかもしれない」


空狐もその言葉に続ける。

一方、コンスタリオ小隊の方もその顔には覚悟と決意が感じられる。


「近々彼等もブントも動き出してくるでしょうね……となると、この大陸も巻き込まれないという訳にはいかないでしょう」

「ああ、ブントにとってもこの南大陸は最後の砦となる筈だ、当然ここを死守するために持てる全ての戦力を投入するだろうな、勿論俺達も含めて」

「それで、協力するつもりなんですか?」

「その答えは既に察しているんじゃないの?二人も同じなんでしょう」


コンスタリオ小隊の方も近々大きな動きが起こるという事を予測していた、そしてその際の行動を既に決めている事も確認している。

一方その頃、キャベルの司令室においても会話がかわされていた。


「アンナースが突然そんな事になるなんて……一体何がどうなって……」


西大陸から来た部隊の司令官は動揺した声を上げるものの、その声は何処かわざとらしくも思える。

だが完全にそうだとも思えないのが更に不自然さを出していた。

今回のアンナースの行動に本当に予想外の部分もあった、そう思えるような返答であったからだ。


「つまり、西大陸の司令官にも心当たりが無いという事ですか?」

「はい、全く心当たりがございません……」


ブエルスの司令官が西大陸の司令官に問いかけると西大陸の司令官はこう答える。

その声はともかく、顔は一見すると偽っているようにも思えるが、一方で本当に困惑しているようにも思える。

それがブエルスの司令官には不可解であった、アンナースの行動自体は合点が行くが、それ以外の部分、突然発狂しだしたという部分に関してははっきりとは分からない、そう言いたいようにも見えたからだ。

一方のキャベルの司令官は特にその様子を追求するようには見られない、恐らくはブエルスの構成員なのだろう。

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