第1125話 離れていても繋がっている
略同時に相手に対してデータの記録文書を送信し、略同時に受け取ったコンスタリオ小隊と魔王陣営、双方はそれぞれ相手から届いたデータ文章を開封しその中身を確認する。
すると彼等自身が気付く事は無いが又しても略同時に
「やはり……向こう側の解析記録にも記載されている……」
と口にする。
「ええ、この記録から考えても私達が先程から思っている事は略間違いないでしょう」
「そして当然、向こうもそれに気付いて何かを考えている」
それぞれのデータを眺めてシレットと八咫がその感想、そこから考えられる仮説を口にする。
その場に居る訳ではなく、又全く同じデータを見ている訳でも無いにも関わらず彼等の言葉は寸分違わぬタイミングで一致しており、また掛け合いも見せていた。
「もしそうだとするなら彼等はどうするつもりなのでしょう?それに……」
「恐らく彼等であれば、そうするでしょうね……そして、身勝手を承知で言えば私も……」
空狐の発言に対し星峰が言葉を返している頃、全く同じ言葉をコンスタリオもシレットとモイスに向けて発していた。
「ああ、それ自体を否定する気はねえよ、俺だって同じ気持ちだ。
只、今回は事が事なだけに楽観は出来ねえ、もしかすると非情、苦渋の決断をしなければならねえかもしれねえ。
これは相手がどうこうだから言ってるんじゃねえ、戦場だからこそ言わなきゃいけねえ事だ」
コンスタリオに対しモイスは敢えて厳しい言葉をかける、それはその気持ちが自分も同じであるからこそ口に出る言葉であった、コンスタリオの内心を理解するからこそ、敢えて厳しい言葉を使い、コンスタリオを律する事で自分を律しているのだ。
「分かっているわ、それが私自身の弱い部分でもあるというのは。
だけど、もしまだ手を取り合う事が出来るのなら、私はそれに賭けてみたい。
そもそも、此位の掛けが出来ない様では彼等と手を取り合う等土台不可能な話でしょう」
コンスタリオと星峰がそれぞれの口から発した言葉に他の面々も黙って首を縦にふる。
それはその言葉に同意しているからに他ならない、もとより彼等を責めているわけではないのだが、それは自分達の覚悟を再確認するという目的もあった。
それを終えた為か、全員その目は覚悟を決めた、しかし眩しさも宿した目となる。
そしてそれを終えると双方は更に相手が送ってくれたデータの調査を続け、自分達が得ていたデータとの照合を開始し、その核心に迫っていく。
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