第1105話 残酷な確信

すると目の前の画面に何かが映し出され、その文章が自動的に読み上げられていく。


「システムを起動します……使用目的はデータ検証と判断、直ちにデータベースへのアクセスを開始します」


部屋中に抑揚に乏しい機械の声が響く中、シレットは


「起動と同時に目的まで見抜いてそこに案内してくれるなんて、便利なものではあるわね。

最も、誰彼構わず起動させるのはどうかと思うけど」


と呟く。


「全くだぜ、機械を過信してセキュリティーが甘くなってんのか?」


シレットの呟きにモイスも同意するがコンスタリオは


「確かに二人の言うとおりかもしれない……だけど何?私にはそうは思えない……何かが腑に落ちない、引っかかる……」


とスムーズに機械が動作した事への引っ掛かりを覚えていた。


「さあ、出たわよ……これは……予想通りの結末ね……」


画面に表示されたデータを閲覧し、コンスタリオは予想通りの結末と言い放つ。

だがその顔は予想が当たっていたという表情とは程遠く、険しく声にも曇りが混ざる、そんな声であった。

そしてその険しさはシレット、モイス、豊雲にも伝染していったのか彼等の表情も険しくなる。


「人造生命の兵器制御転用について、我々は大きな一歩を踏み出す事が出来た。

我々が作り出した兵器の制御装置に生命を組み込む事で兵器の思考により多様且つ柔軟性を組み込む事に成功したのだ。

そして更にそれは機動兵器、人造生命双方の拡張性の拡大にも繋がった、これにより地上の戦乱は益々混迷を極め、我らの、そしてあのお方の悲願は達成される」


この文章が一同が覗き込んでいる画面に表示されていたものである。


「あの御方っていうのが何者なのか、その点が気になるけど、やはりこの施設はブントの支配下にあり、その私腹を肥やす為に人造生命や兵器が生み出されている、そう考えてまず間違いないわね」


コンスタリオがそう告げると豊雲も


「ええ、そして此処に記載されている文章、これは我々の調査でも判明している事実ですが、こうして直接記録された文章が発見された以上、その裏付けを確実に得たということになります。

人造生命についても同様でしょう」


と言葉を続け、コンスタリオの意見と自分達の意見が一致している事を告げる。


「だとすると、此処に記録されているデータもかなり重要な物になりそうね、それに、今この瞬間も起動している生産プラントも忌々しい物、早々に破壊したい所ね」


コンスタリオはそう言うとデータを調べ始めようとするがその瞬間アンナースが


「あ……あああっ……」


と叫びだす。

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