第1106話 錯乱するアンナース

「今度はどうしたの、アンナース!?」


コンスタリオがそう叫び、アンナースの方を振り返ると同時にアンナースが手に銃を構え、その銃口をコンスタリオに向けようとする。


「!?アンナース、貴方……」

「隊長さん、危険です!!」


豊雲はそう叫ぶとアンナースに飛びかかり、その銃口の狙いを外しながら地面に転げ落ちる。

その転倒で銃はアンナースの手元から離れ、カランカランと音を立てて離れる。


「アンナース、一体何を……」

「あ……ああああっ!!」


シレットが呼びかけるものの、アンナースはそれにも答えず狂った様な声を上げ続ける。


「くっ、一体どうなっているの……」


コンスタリオが困惑を隠せない声で言うが、アンナースは狂ったような声を上げ続け、そのまま部屋の外に向かっていき姿が見えなくなってしまう。


「アンナース……一体何がどうなっているの……」

「駄目だ……もう姿が見えねえ、くそっ、さっきの異変と言い今と言い、本当にどうなってやがる……」


シレットも又、コンスタリオと同様に困惑した声を上げるとモイスは既に姿が見えなくなった事を告げる。


「残念ですが今からでは追跡出来そうにありません……一体どうしますか?」


非情な現実が豊雲の口から告げられる中、コンスタリオの口から出てきた言葉は


「取り敢えずアンナースの事はまた後で考えましょう、報告の必要もあるわ。

それよりも今はこうしてデータの元に辿り着けたんだもの、データの収集と分析を行いましょう」


という現実に則した、しかし現状でできる唯一にして最善の案であった。


「そうした方が良さそうだな……アンナースについての疑問は多数残るが今それを考えても仕方ねえ、それよりも今出来る事をするべきだろうな」


モイスもそれに同意し、豊雲を含めた全員がデータの調査を開始する。


「やはりここは兵器の制御装置として組み込む人造生命の生産施設の様ですね……早々に出てきたこの文章がそれを物語っていますよ」


豊雲が指し示すその文章とは


「本日、遂に兵器の制御に適した生命の創造に成功した、それこそが我々の研究成果と言っていい、コレで我々の戦力も飛躍的に向上する事が見込まれる。

最も、従来の兵士の製造も並行して行う都合上、直ぐには数は整えられんが」


というデータ記録の冒頭に出てきた文章であった。


「この文章だけでも十二分にこの施設がどれだけ腐ってるのかってのが分かるな……」

「こっちにはその作り出された生命のデータもあるわね、コレを調べれば何か分かるかも知れない」


モイスとシレットの言葉に従い、コンスタリオは更にデータを調べていく。

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