第1104話 見えない呪縛
その表情は明らかに焦りが見え、銃を構えようとする両手が震えているのが見える。
その状況からアンナースが故意にそうしているのではない事は明らかだった。
「一体どうなっているの……駄目……体は動くのになんで銃が……」
尚も困惑し続けるアンナースに対しコンスタリオは
「くっ、アンナース……体が動かせるのなら何とか後ろに下がって!!この状況で貴方を守りながら戦うのは……」
と困惑しながらも何とか指示を出し、アンナースは黙ってそのまま後方に下がろうとする。
だが生命はそんな状況でも容赦なくアンナースに迫り、攻撃を加えようとする。
「つっ、このままじゃ……サンダー・サークル!!」
シレットはそう言うと雷撃の円輪を飛ばし、前方に居る生命を雷撃で一掃する。
それによって生命の攻撃に晒される危険性がなくなった事により、一行はアンナースに駆け寄る。
「アンナース、大丈夫か!?」
「え、ええ……何とか腕は回復しました……」
心配するモイスの言葉に対するアンナースの返答通り、その両手から震えは無くなっていた。
だがアンナースの顔はまだ冷や汗と困惑が滲み出ており、先程の行動が決して故意ではないことを物語っていた。
「一体何が起こったの?突然腕が動かせなくなるなんて……」
「分かりません……一体どうなったのか、何が起こったのか……」
アンナースが困惑した顔でそう続ける。
その顔に嘘は見られない、恐らくは何が起こったのか本人も本当に分かっていないのだろう。
「とりあえず立てる?ここで立ち止まっている時間は残念だけど無いの」
「はい、立つのは問題ありません」
「では、私が手を貸しましょう」
コンスタリオの言葉に立ち上がろうとするアンナースに豊雲がそっと手を差し出す。
「この状況ではありがたいわ、その手に捕まらせて頂きます……」
差し出された手を握り、アンナースは立ち上がる。
だがその手を握った瞬間に豊雲の表情が困惑する。
「!?今のは……」
豊雲は内心で何かを感じ取るが、それが何なのか明確には出来ない。
それでも一同に足を止めている余裕はない、そう言い聞かせると一同は足早に先に進み始める。
そして先に進んでいくとそこには一面の培養カプセルらしき物、そしてその中に入れられている生命が幾つも存在していた。
「これは……酷い……ここに居る生命達が全員さっきの兵器の……」
シレットがそう告げると豊雲も
「ええ、間違いないでしょうね……それを確かめる為には、星峰ならこうするでしょう」
と続け、近くにあった機器の電源を入れる。
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