第1096話 異なる物、共通する物
シレットが機器を操作した事で部屋に明かりが灯り、その奥がガラス張りになっている事、そこに兵器生産プラントが存在している事が確認出来る。
「やはりここも兵器生産プラント……だがここはさっきとは違うな……」
モイスが告げた先程のプラントとの違い、それは小隊の面々は既に気付いていた。
この生産プラントは先程の生産プラントとは違い、動作していなかったという点である。
「このプラントは先程のプラントとは違い、機器を操作しても動作しない……制御装置はこの機器とは違う機器で行われているという事なの?」
「その可能性も考えられなくはありませんね……只、コレまでの兵器生産プラントからするとどうしてこうしたまどろっこしい仕組みにしているのか、その点は気になりますが」
コンスタリオの疑問とそれに対するアンナースの返答はこの兵器プラントの特異性を物語っていた。
そしてそれはそのまま現状に対する疑問にもなる。
「となると、先程の兵器は今ここで生産された兵器ではなく、予め生産されていた兵器、或いは別の場所で生産された兵器であるという事なんだろうけど……」
「態々そんな事をしてまで隠し通したい兵器プラント……ここで生産されているのは只の兵器では無さそうね」
「となると、今までの状況から考えてここで生産されている兵器……まさか!?」
シレットとアンナースが生産プラントで生産されている兵器についての仮説を立てるとその直後にコンスタリオが不安げな声を上げ、目の前のガラスを割って生産プラントの中へと飛び込む。
「隊長!?一体どうしたんですか!?」
シレットが焦った声を上げると同時に残る三人もコンスタリオの後を追ってプラントの中へと飛び込んでいく。
そこで広がっている光景はコレまで見てきた兵器生産プラントとさして変わらなかった。
中心部分にコレまで見た事のない機器が置かれている事を除けば。
「あそこにある機器は一体……今まで見てきた兵器生産プラントには無かった物ですよ」
「となるとあそこにこの生産プラントの秘密が隠されていると考えてまず間違いないでしょうね。
調査対象もあそこに絞って良さそうです」
「だが、あの機器は只の機器ではない、あれ一つが一つの部屋の様になっている以上、簡単には調べられそうに無い雰囲気が漂っているぜ……」
シレットとアンナースの発言は正しいものの、それに続くモイスの懸念も又的確であり、一同は逸る足を一旦止め、冷静に体勢を整える。
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