第1095話 答えを求む通路の先
「これだけの兵器が生産されていたのならどうしてこの施設から戦力を送ってこなかったのか、その点も気になりますね。
もしブントが初めから戦力を全て投入していたらここに来て魔王軍に知られるなんて事は無かったはずです」
アンナースがそう告げるとコンスタリオは一瞬困惑した顔を浮かべる物の、その困惑は直ぐに疑問の顔へと変わる。
アンナースの言う事自体は最もではあるが、コンスタリオが困惑したのはそこではない。
アンナースがブント側なのは最早明白であるにも関わらず、コンスタリオ小隊に対して発した言葉は明らかに自分自身も知らない、或いはブント側ではない立場でなければ出てこない発言であったからである。
「……そうね……でも、もしこの施設から戦力を投入することをしなかったのではなく、出来なかったのだとしたら……」
「この施設はブントとは違う別の何者かが牛耳っているのかも知れないって事か……」
困惑を止める為なのか、コンスタリオとモイスは何処か今更感がある話をする、だがその話は当然
「その何者かというのは一体……」
という新たな疑問を生み出す。
「それを確かめる為にも奥に進みましょう、幸いここは広さの割に通路は向こう側にしか繋がっていませんから迷う事は無さそうですね」
シレットがこう呟くとコンスタリオは無言で首を縦に振って頷き、先に進んでいく。
「だとすると、この大広間はやはり侵入者の迎撃用に建築された部屋だと考えてまず間違いないわね。
こんな部屋まで作り出しているとなると、やはりこの先には何か重要な場所があるという事なの……」
先に進んでいく最中、ふとシレットがこう呟くとモイスが
「それを確認するのは直ぐに出来そうだぜ」
と返答する。
その言葉通り、一同の目の前には分岐通路が見えてきていた。
それは2つに分かれており、それぞれの通路の奥に扉が存在している。
「2つの扉……一つが罠なのか、それとも2つとも本命なのか、罠なのか……何れにしてもここは行くしか無いわね」
コンスタリオがそう告げると同時に一同は足を進め始め、その奥にある扉へと足を進めていく。
そしてその扉に手をかけると扉は以外にもあっさりと開く。
罠は疎か、鍵すら掛けられていない扉にコンスタリオ小隊は逆に警戒心を抱く。
そのまま中にはいるとそこには明らかに何らかの機器と思われる機材が幾つも設置されていた。
「ここも機械ばかりが置いてあるのね……でもさっきのプラントとは又不気味さの雰囲気が違う……」
シレットがそう呟きながらも電源を入れるとその機器は当然の事ながら動き始める。
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