第1070話 助ける理由
「ちっ、やっぱり銃弾じゃ貫くまでには至らねえってか!!」
「でも防ぐ動作は見せている、攻撃そのものは無駄ではない筈よ」
モイスが少し苛立った口調を見せるものの、直後にコンスタリオがフォローして其の顔に自信を戻させる。
だが其の直後、兵器が全身の火器を開放して一斉に乱射し、ミサイルや銃弾、レーザーを次々と撃ってくる。
「くっ、いきなり手当たり次第に攻撃してきたわね……それだけ余裕がなくなってきたってことなのかしら?」
「コレも生命としての思考能力を備えているが故だというの……なら攻撃に転嫁することで一気に不利な状況からの逆転を狙ってきたという解釈で合っているの?」
空狐と岬が総分析すると八咫は
「なら、その思考を停止させりゃ一気に有利に持っていけるかも知れねえが……」
と少し澱んだ口調で話す。
それは内部に取り込まれている生命を直接攻撃するという事であり、既に生命として助ける術が無いとは言え一同の内心に暗い影を落とす事であった。
其の話が聞こえたのか、兵器は更に近付かせないと言わんばかりに更に全身の火器を乱射してくる。
其の攻撃は激しさを増し、一同に攻撃する鋤すら与えない。
「くっ、このままじゃ反撃に移れない……なんとかしてあの兵器の動きを止めないと……」
星峰がそう呟いた矢先、兵器が乱射した攻撃の一部がアンナースの方に向かっていく。
「アンナース!!じっとしていては駄目!!」
コンスタリオがそう叫んだ事で不意に上を向いたアンナースだが、時既に遅し。
彼女の頭上にはミサイルが接近しており、直撃は免れない状況であった。
「ああっ!!このままじゃ……」
友人が取り込まれているという事実に未だ内申が対応出来ていないのか、アンナースの動作には明らかに今までの任務では考えられない精細を欠いた物が目立っていた。
「くっ!!間に合えっ!!」
天之御はそういうとアンナースに直撃しようとするミサイルの進路上に先回りし
「魔王妖術……黒き一縷!!」
と言って指先から細く黒い妖術を放ちミサイルに当てる。
するとミサイルは妖術にあたった瞬間に爆発すらしないまま何処かへと霧散していく。
「何とか間に合ったようだね」
「え……私を……何故?」
「この状況で助けるのに理由がいる?もし必要なら君には生きて欲しいというのが理由になるよ」
天之御に助けられた事にアンナースが困惑した様子を見せるが、そんなアンナースに天之御はそれだけを告げる。
「アンナース、戦いに集中出来ないなら後方に下がって!!今の貴方じゃ……」
コンスタリオの厳しい叱責が其の場に響き渡る。
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