第1071話 アンナースの決断

「いえ……いいえ……私も戦います!!いえ、私にやらせて下さい!!」


アンナースは立ち上がるとそう大声で宣言し、その手に武器の狙撃銃を握り締める。


「アンナース……」


それでもコンスタリオ小隊にはアンナースは何処か無理をしているように映る。

シレットのこの一言がそれを物語っていた。


「コレは私がやらなければ……私がやらなければ駄目なんです!!」


アンナースが強い口調でそう言い切るのを聞き、コンスタリオは


「……分かったわ、アンナース、貴方の本気を見せて!!」


と叱咤激励ともそうでないとも言える発言をかける。


「ええ、今から見せますよ!!」


アンナースはそういうと手にした狙撃銃で兵器の中心部分を狙い撃つ。

アンナースの本気の証明なのか、本来連射には向かない筈の狙撃銃を次々と撃ち、兵器の中心部分、つまり人族を取り込んでいる中核部分に当てていく。

その部分に当たる度に兵器はたじろぎ、その体勢を崩していく、それはつまり、アンナースの攻撃が有効である事を意味していた。


「兵器にたじろぎが見られるって事はアンナースの攻撃が効いてるって事か!!つまりあの兵器の弱点はやはり……」

「人族を取り込んでいる場所ということになるね、やはりあそこを狙うのが有効という事になるんだろうけど……」


アンナースの攻撃により、兵器の弱点は判明したものの、それはやはり、生命を攻撃するという事を意味していた。

その事実は一同の内心に重くのしかかる。

だが、それでも一同は攻撃を止める訳にはいかない。

アンナースの攻撃に続こうとするが兵器の思考の柔軟性が発揮されているのかアンナースの攻撃以外はずらして塞がれ、中々決定打を与える事が出来ない。


「ううっ……ううっ……」

「アンナース……やはり無理を……」

「大丈夫です……こうなった以上、あの生命達は私が開放してあげなければいけないんです……」


攻撃を続けるものの、アンナースの口から徐々に嗚咽が漏れ始める、それはやはり、アンナースの内心に負荷をかけ続けている事を意味していた。


「アンナース……コレ以上時間は掛けられないわね、もう一発だけ狙い打てる?」

「一発どころか何発でも狙い撃ってあげますよ!!私の銃弾が役に立つというのであれば!!」


コンスタリオはアンナースにそう確認すると兵器に接近していき、自身にその攻撃の矛先を向けさせる。

そして


「あああああっ!!」


という声と共にアンナースが放った銃弾が兵器の中心に直撃すると同時に飛び上がる。

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