第1069話 それぞれの覚悟

それぞれが覚悟を決め、兵器に向かっていく。

その前陣を切ったのは


「黒羽の射手!!」


という声と共に羽の先端を矢の様に鋭利な形状へと変化させ、兵器を攻撃した八咫出あった。

その攻撃は幾つか弾かれる物の、半分以上は兵器の関節部分に当たりその装甲を損傷させる、だが損傷を与えた箇所も直ぐに修復してしまう。


「此方の攻撃に対して対応しつつの自己修復か……どうやら相当に手強そうだね、この兵器……やはりこれまで戦ってきた兵器よりも思考に柔軟性がある」

「うん……自己修復に物を言わせて突撃してくるのであれば攻撃を態々防ぐ必要はない、それを見越した上でやってきているのであればその対応はやはり柔軟であると言わざるを得ないね」


今の流れを見た涙名と天之御は兵器の様子を詳細に分析する。

それに対しシレットは


「冷静なのも構わないけど、その兵器と戦う術はあるの?」


と言うと手から雷撃を放ち兵器を攻撃するがそれも又防がれたり自己修復されたりしてしまう。


「ええ、あるわ。

制御に生命を組み込んでいるというのであればその生命に揺らぎが生じれば!!」


星峰はそう言うと


「狐妖術……真紅の籠球!!」


と言って赤黒い色の火球を眼の前に出現させ、それを兵器目掛けて飛ばす。

飛んでいった火球は生命が組み込まれた箇所のすぐ近くに直撃し、兵器をたじろがせる。


「兵器がひるんでダメージを受けましたね……それに修復もされてないとは言えませんが、先程までの修復より明らかに遅いです」


たじろいだ兵器の様子を見て空狐がそう告げると涙名は


「生命が攻撃を受けた事で制御系に支障が出たって事か!!ならやっぱり星峰の線は正しいんだ!!」


と言いながら兵器に接近し、そのまま


「深淵の爪断罪!!」


といって右手の爪に黒い妖術を纏わせ、その爪で兵器と生命の境目の部分を攻撃しようとするものの、そこに隠し装甲が出現し阻まれてしまう。


「隠し装甲!?こういうのも装備してるってことも又柔軟な思考を与えられている証拠だね、でも……」

「ええ、これであの兵器のあそこが弱点なのはほぼ明確ね、そうでなければあんな物を搭載したりはしないもの」


攻撃を防がれた事で涙名は逆に自分の攻撃が有効であると自信を持ち、それを見ていた空狐も同意する。


「なら、俺も撃ちまくるぜ」


モイスはそう言うと両手に構えた銃で生命の居る箇所の近くを攻撃し始める、しかし銃弾ではやはり兵器には決定打は与えられないのか、先程の様にたじろがせるまでには至らない。

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