第1068話 非常なる決断
「それだけって……一体どういう事なの?肉体的にはって……」
星峰の其の言葉が引っかかったのか、岬も疑問を口にする。
すると星峰は
「肉体的には中心部分を避けて攻撃すればあの兵器に囚われている人族を救出する事は可能ではあるわ、だけどそこから先、彼等が目を開けてくれる可能性があるのかどうかっていうとね、残念ながら略内に等しいのよ」
と自身の発言についての回答を行う。
それを聞いたシレットが
「つまり……あの兵器の制御に使われている人族は既に生きているとは言えない状態にあるって事!?」
と星峰に問いかけると星峰は
「ええ……そういう事になるわ……例え肉体的に救助する事が出来てもその後に彼等の意識が戻り、目を覚ましてくれる可能性は限りなく0に近いと言わざるを得ないの。
それでは最早生きていると言えるのかどうか……」
と返答する。
「くそっ!!奴等め……なんて冷酷な事をしやがる!!
生命の意志を奪って制御装置に組み込むなんて……」
「既に人族にかけられている負荷は相当な物であると言わざるを得ないわ。
ここまで来てしまうと外に出た瞬間、つまり兵器を破壊し、制御装置としての状態から開放されたとしても其の瞬間に……」
八咫の怒りを感じる言葉に続けて星峰は一見すると冷静に聞こえる発言を行う。
だが其の場に居た全員が気付いていた、先程から淡々と話している用に見える星峰の内心にも確実に怒りが渦巻いており、それはモイスや八咫のそれに勝るとも劣らない物であると。
それ故なのだろう、先程から淡々と非常な内容を話している用に見える星峰に対し誰も真っ向から反論しようとしたりはしていない。
そんな事をして無意味に対立を煽ってしまう様な事は避けたいという意図もあるのかも知れないが。
「そんな……そんな事って……」
そう呟くとアンナースは力無く其の場に崩れ落ちる、そんな彼女をコンスタリオが抱きかかえる。
「星峰の言う通りであるならばあの人族たちに対してはもう楽にしてあげる事しか出来ない……皆、兵器に攻撃を集中し、可能な限り早くこの戦闘を終わらせるんだ!!
それが結果的にはあの人族を救う事にも繋がる」
天之御がそう叫ぶと同時に一同は交戦耐性を整え、すかさず反撃に出る。
「私達も同じね……この状況から言って、私達だけで救助するというのは殆ど不可能に近いわ、それにさっき其の星峰っていう魔神族が言っていた通りであるなら……」
コンスタリオも内心の葛藤を感じつつも交戦体制を取り、それを見たシレットとモイスも腹を括った表情を浮かべる。
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