第1067話 無情なる兵器

「あ……ああ……」


アンナースの口から困惑した声が漏れ出る、いや、正確に言えば困惑や驚嘆だけではない、名状しがたいそれ以上の何かが中に混じりこんだ声が漏れ出ているのだ。

その様子はそれ以外の言葉では言い表せられない衝撃を受けているとしか思えない。


「アンナース!?一体どうしたの!?」


只事ではない様子を察したのか、コンスタリオがアンナースに話しかける、するとアンナースは


「あの中にいるのは……あの中にいる人族は私の故郷の友人です……それも一人じゃありません、何人も友人があの中にいるんです……」


とその声が漏れ出た理由を告げる。

その回答に一同は更なる衝撃を受ける事になる。


「あ、アンナースの友人があの中に……あの兵器の中にいるっていうの!?」

「ええ……あの顔、見間違える筈がありません……でもどうして!?私の故郷が一度襲われて散り散りになった後、ずっと消息が掴めていなかったのに……」

「故郷が襲われた!?つまりさっきの街は一度襲撃を受けたって事!?それって……」


アンナースの発言自体も衝撃的であるが、その発言は星峰と空狐の口から更なる疑念を出させる事になる。


「皆、今は余計な事を考えちゃ駄目だ!!まずはあの兵器への対処を最優先に考えて!!」


天之御がそう叫ぶと同時に兵器が攻撃を仕掛けてくる。

どうやら一同が困惑している間に体制を整えられてしまったようだ。

一同が散開し攻撃を避けるがアンナースは


「友人があの中に……」


という衝撃からまだ心ここにあらずの状態なのか回避行動が遅れ攻撃を受けそうになってしまう。


「アンナース、じっとしていては駄目!!」


そう叫ぶコンスタリオが彼女に駆け寄り、抱き抱えながら走った事で辛うじて攻撃の直撃は避けられたものの、その爆発が背後から襲い二人は吹き飛ばされた勢いで地面に擦り付けられてしまう。


「隊長!!アンナース!!」

「大丈夫、この位何とも無いわ」


心配する声を上げるシレットに対しコンスタリオはこう答える、一方アンナースは未だ困惑した表情から抜け出せていないのが見て取れる。


「くっ、何とかしてあの兵器からアンナースの友人を助けられねえのか!!」


モイスがそう叫ぶがそれに対する星峰の返答は


「残念だけど……不可能よ……」


という非情、無情な響きを含んだ言葉であった。


「どうしてだ!!中心部分を攻撃しない様にすれば……」


モイスは尚も食い下がろうとするが星峰は


「肉体的にはそれで救助出来るわ、だけど……それだけなの」


と更なる非情な言葉を続ける。

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