第1051話 災いを生み出す源
「何とか突破出来ましたね」
「ええ、でも油断は禁物よ、本番は寧ろここからなのだから」
アンナースが安堵の表情で呟くとコンスタリオはそれを肯定しつつもまだ油断は出来ないという事を示す。
実際コンスタリオの言う通りではあった、一同の目の前には現状も可動を続けている生産ラインがあり、そこから次々と兵器が生み出されているのだから。
「可動しているラインは複数ありますね……恐らくは同じ素体に別の装備やバリエーションを構築する為に分けているのでしょうけど……」
「ラインを一つ一つ潰していたのではキリがないわね、ここはラインを逆走して其の大本を特定し叩くというのが最短且つ最善の策と言えるでしょう」
シレットの予測とコンスタリオの方針により、一同は現在眼の前に見えているラインを逆走する事を決める。
幸いにも管理する生命が存在していたのか移動用の通路は整備されており、又兵器がそこに侵入してくる事はない。
先程の迎撃用兵器はあくまでもその入口から出入りしていたというだけであり、通路には入ってこないようにプログラムされているようだ。
「これ以上兵器を量産させる訳には行きません……皆さん、急ぎましょう!!」
これまでになく気合の入った声と共にアンナースが先行し通路の先へと向かっていく。
其の最中にも兵器は通路に侵入こそしてこないものの其の数を確実に増やしていくのが目に入って来る。
それを見たモイスは
「大本を叩かねえと此奴等は幾らでも数を増やしやがる……急がねえと。
其の事がわかってなきゃ一体ずつぶっ壊してたかも知れねえが……」
と若干の悔しさのような物をその表情に滲ませる。
恐らくは今すぐにでも兵器を破壊したいという思いが内心に渦巻いており、それが葛藤となっているのだろう。
そんなモイスの心境をコンスタリオ小隊は言われるまでもなく気付いていた。
コンスタリオもシレットも、そしてアンナースも内心は同じであったからだ、コンスタリオとシレットだけでなく、アンナースもこの状況には
「今回の指示は流石に不可解な点が多すぎる……これは流石に看過出来る話ではないわね、帰還したら司令官を、更には上層部を問い詰める必要がある……」
と内心で怒りを感じていた。
それ程今回の任務の状況は異常に感じられたのだ。
そして暫く進んでいくと兵器製造の大本らしき巨大な装置が設置されている部屋へと辿り着く。
「ここで全てのラインが収束している……どうやらここが大本と考えてまず間違いないでしょうね」
アンナースがそう叫ぶと同時に部屋に謎の振動が走り始める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます