第1046話 機械仕掛けの生命
コンスタリオ小隊が先に進んでいくと今度は大掛かりな機器が設置された大部屋らしき場所に出る。
その直前に扉があったことからもそこが何らかの部屋である事は間違いなかった。
「この部屋は……大掛かりな装置とそれ以外は何も無いという明らかに不釣り合いな部屋……ここに何も無い方が可笑しいですよね」
シレットがそう話すとコンスタリオとモイスだけでなくアンナースも黙って頷く。
シレットの言う通り、この部屋に何もないと考える方が無理がある状況なのは疑いようがなかったからだ。
「ええ、となると鍵となるとはどう考えてもこの装置……じっとしていても仕方ないわ、起動してみましょう」
コンスタリオはそう告げると眼の前にある大掛かりな装置を起動し、その様子を見る。
すると部屋の中に突然建物や森林、湖等が出現し、更にそこから生命も向かってくる。
「何も無い所から突然生命と物体が!?これは一体……」
アンナースが困惑している間にも生命は一同に向かって来て攻撃を仕掛けてくる。
完全に不意を突かれる形となったコンスタリオ小隊はその攻撃を躱しきれない。
「つっ、でも……」
というと受け身をとって反撃しようとするコンスタリオだが攻撃を受けた箇所は一寸した衝撃を受けた位の痛みしか感じず、生命の攻撃を受けたとするにはあまりにも軽すぎるダメージであった。
そのままコンスタリオは反撃し生命に攻撃する。
すると攻撃を受けた生命は倒れ込むのではなくそのまま雲散霧消してしまう。
完全に跡形なく消えており、まるで始めから存在していなかったかのようにも見える。
「これは一体……今までこんな生命は……いえ兵器も物体も見た事無いですよ」
「確かにそうかも知れないけど、これに似た物は存在しているわ、そしてそれは既にブエルスには設置されていた」
アンナースが引き続き困惑した声を上げるが、コンスタリオはそれに対して冷静な返答を行う。
その返答はハッタリや知ったかぶりではなく、確かに答えを知っているというのが口ぶりから伝わってくる返答であった。
「ブエルスに設置されていたって、それは一体……」
「魔術で再現した想像訓練の事ですね」
「ああ、確かに今のはそれと似ている、けどそれを機械でやっているのだとしたら」
「より効率的な訓練が可能となるわね、となるとここでは兵士の育成も行っていたのか、あるいは兵器のテスト場なのか……」
困惑するアンナースを尻目にコンスタリオ小隊は納得した様子で話を進めていくが、それに対しアンナースは
「一寸!!私を置いて話を進めないで下さい!!」
と不満を漏らす。
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