第1047話 ブエルスの栄光
「ああ……悪かったわね、ブエルスの戦闘訓練の一環に魔術を用いて仮想の戦場を作り、そこで実践さながらの訓練をするという物があったのよ。
そして今の一連の流れはそれと酷似してるという事、用いているのが機械なのか魔術なのかという違いはあるけどね」
不満げな声を漏らすアンナースに対しコンスタリオは丁寧に説明する。
するとアンナースも納得したのか
「ああ、そういう事だったんですね、それなら納得がいきますが……」
と一先ず不満げな声は出さなくなる、だがその声からはまだ疑問が残っている雰囲気が漂う。
「ですが、そんな事が可能なのですか?それだけの魔術を用いるとなると相当な魔力が必要になる筈ですが……」
そのまま質問を続けるアンナース、どうやらこれが先程の疑問に続く言葉の様だ。
この問いかけに対しコンスタリオは
「確かにこの魔術を用いた訓練は常に法皇と其の息子、ルイナ皇子が主催していたわ。
つまり、彼等しか使う事が出来なかった魔術と言えるでしょうね、そして其の訓練がもし、この機器を用いた物を魔術で代用して行っているものだとしたら……」
「法皇かルイナ皇子の何方か、或いは両方がこの施設の建設者と関係しているということになりますね」
その後に続くシレットの言葉も含め、この状況に危機感を募らせる。
「もし仮にそうだとしたら……コンスタリオ隊長はどうだと思う?」
モイスの問いかけにコンスタリオは
「私の推測でしか無いけど、可能性が高いのは法皇の方ね、そしてもしそうだとするなら、恐らく法皇は裏側組織とも繋がっている。
もしかするとそれがブエルス陥落の理由なのかもしれないわね」
と自身の考えを話す。
「隊長も俺と同じ意見か……まあ、状況から考えるとな……」
同じ意見を持っていると言う事に安心したのか、モイスもこう言葉を続ける。
それに対しアンナースは
「どうしてそう言えるんですか?」
と疑問をぶつける。
裏側組織の事が出てきた為に少しでも其の可能性を否定しておきたいのだろうか。
其の疑問に対しコンスタリオは
「モイスや私、そして恐らくはシレットの考えの根拠なのだけど、ブエルスが陥落した際、法皇の息子ルイナ皇子は襲撃してきた部隊の凶刃に倒れ、その生命を散らせたと言われているの。
もしルイナ皇子が裏側組織と関わっているのであれば凶刃に倒れさせるよりも身柄を拘束して其の情報を聞き出す方がずっと効率がいい筈よ。
あの魔王がそれを考えないとは思えない」
と自身の考えの根拠を口にする。
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