第1045話 アンナースの決意

其の危機感を煽り立てるかのように兵器はコンスタリオ小隊に対し更に激しい攻撃を加えてくる。

其の猛攻は雪崩の様に素早く、そして激しく、コンスタリオ小隊をこれまでにない窮地へと追い込んでいく。


「くっ、このままではここで足止めどころか此方の戦力が消耗しきってしまう事も考えられなくはない……でも、ここで立ち止まってしまう訳にもいかない!!」


コンスタリオはそう叫ぶと兵器に接近し、格闘術で関節を攻撃し破壊していく。

格闘術は関節の破壊に向いているのか次々と決まり、コンスタリオの前に兵器の残骸が積み上げられていく。


「隊長……確かにこのままではここで倒れてしまうことにすらなりかねない……だけど、こんな所で倒れる訳にはいかない!!」


モイスもそう発言して一念発起すると手にした銃で兵器の関節を次々と撃っていく。

半ば捨て身とも見える其の攻撃が功を奏したのか、一同の攻撃は兵器を徐々に追い込んで行く。


「このままの勢いで兵器を殲滅すれば、この先の道も開けるかもしれない!!」


シレットもそう言うと更に魔術を放ち、其の魔術で兵器を殲滅していく。

そして漸く兵器の全滅に成功し、其の場には兵器の残骸が積み上がっていた。


「さて……どうする?アンナース?」

「どうするって……どういう意味です?」


突然コンスタリオから投げかけられた言葉に困惑するアンナース、どうやら言葉の意味が本当に分かっていないようである。


「貴方に下された指示は兵器の回収なのでしょう?これだけ残骸があれば回収対象には困らないと思うけど」


この発言でアンナースははっとした表情を浮かべる。

どうやら自身に下された任務の本筋を完全に忘れてしまっていた様だ、いや、正確に言えば忘れてはいないがそれを上回る衝撃の連続で困惑しすぎていたのかもしれない。


「そうでしたね……確かにこの残骸は回収します、ですが……自分勝手かもしれませんが私はここで立ち止まる気は、まして引き返す気はありません」


と告げる。

其の顔は先程の困惑した物ではなく、何処か強い決意を感じさせるものであった。


「分かったわ……貴方がそういうのであれば私もとことん付き合ってあげる」

「私ではなく、私達でしょう、隊長!!」


アンナースの決意に満ちた表情を見たのか、コンスタリオも強い決意を秘めた表情でこう告げるが、直後にシレットが足りていない言葉を付け足す。


「さあ、だったらここで長居するのは無用だ、さっさと行こうぜ!!」


モイスの其の言葉にあらかたの残骸の回収を終えた後、一同は先へと進み始める。

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