第1006話 侵攻と守る物 

岬が気付いた何かは突破口となったのか、そこから岬は素早く動き回り、兎に角一箇所に留まらないようにしつつ攻撃を加えていく。

その甲斐あったのか兵器は岬の動きについていけなくなり、先程までの優勢は何処へ行ったのかと言う様な状態となる。

そのまま岬は反撃に移り、敵の殲滅には成功するものの、内心に芽生えた違和感は拭い去れずに居た。


「この兵器達……明らかに途中から動作が妙になっていた、それを確かめる為に動いてみたけど、その予測は当たっていたようね……」


岬がそう呟いた直後、目の前に転移妖術の紋章が出現する。


「これは転移妖術の紋章……つまり、これを使って戻って来てって事ね……

私の疑問を伝える為にもそうしましょう」


そう呟くと岬は先程の崩れた天井を一度振り返り、確認する様な目で見つめた後に足を紋章へと向けて歩き始める。

そして紋章を潜るとそこは予測通り何時ものブエルス謁見の間であった。


~岬の回想終わり~


「岬の方の戦いの一部始終は分かったけど、それと兵器の違和感にどういう関連があるの?」

「兵器の動きの妙な点についてよ、私が交戦した兵器は途中から攻撃の対象を天井に定めつつあったの。

私を狙いつつ天井も攻撃する、そう狙っているとしか思えない動きだったの。

だけど地下通路で天井を攻撃なんかしたら……」

「まあ、生き埋めになるわよね……兵器とはいえ、それでは効率が悪すぎる……にも関わらずそんな動きをしたとなるとその狙いは……」

「侵攻を食い止める戦い方としては理に適っているわ、つまり、あの辺りには今回の機動兵器を送り込んできた、あるいは配置していた奴にとって見られると都合が悪い物があり、それを見させない為にその様な戦い方をするようにプログラミングされていた」


岬の気付いた点は兵器の動き方の不自然な点についてであった、そして更に


「兵器の動きの不自然さについてはそれ以外にも当初取れていた連携がある一定の場面から乱れ始めたという点からも考えられます。

そしてもう一点、侵攻の為に送り込まれた筈の兵器が何故天井を攻撃したのか、その点もまた不自然です」

「確かに……僕達が交戦した兵器にそんな動作は見られなかった」


続けて発された涙名の言葉もこの状況を裏付ける。


「となると、今回岬が交戦した周囲は又後日調べて見る価値がありそうね。

その辺りに奴に迫る大きな手掛かりがあるかも知れない」


星峰がそう告げるとその場に居た全員が首を縦に振って頷く。

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