第1005話 岬の戦い、岬の違和感
「ただ、そうだとすると問題なのはこのタイミングでそれが何故動いたのかって事。
意図的なものであるにせよ偶然であるにせよこのタイミングで動き出したっていう事実そのものがまず引っかかる。
それだけ追い詰められているということであれば良いんだけど……」
「其の言葉遣いから考えると、殿下はそうではないとお考えなのですね」
「ああ、もしそうならまずそんな状況にならない様な形で起動させる筈だからね、でもそうしなかった、或いは出来なかった、何方にしても碌でもない事になるのはほぼ確実だと思う」
「力を与えていただけで関与はしていなかったという可能性も考えられなくはありませんが、それにしてもこのタイミングでどうして東大陸に騒動をもたらす必要があったのか……」
天之御と空狐、岬が話を進めていく中でふと岬は
「そう言えば……私が交戦した部隊も今にして思えば何か奇妙な動きをしていました」
と告げる。
それを聞いた空狐が
「奇妙な動き?具体的にはどういったものなの?」
と問いかけると岬は
「それは……」
と言い、自身の戦いを回想し始める。
~岬の回想~
転移妖術で兵器の侵攻方向に立ち塞がった岬は得意の格闘術で兵器を粉砕していくものの、数の多さにやや劣勢に立たされていた。
「くっ、この数……格闘術で戦うには不利ね……今までは周囲のサポートもあったから何とか物量戦をこなしてきたけど、一人ではやはりダイレクトに其の点が出てくる。
だけど弱音を吐く訳にはいかない!!皆同じなのだから」
やや弱気になりそうな自身の内心をそう呟く事で奮い立たせ、兵器のレーザーや機関銃を何とか回避しつつ反撃に転じていく。
「この兵器達の動き、明らかに連携を重視した物になっている……今までこんな兵器は存在していなかった。
連携を重視して運用する事を前提としているという事なの?
だとしたら其の製造目的は……」
兵器の動きを見ていた岬は内心でこの様な疑念を抱く。
だがそれだけでは星峰や涙名が内心で抱いた疑念と同じであり、態々口に出して言う程の事ではないだろう、つまり岬の抱いた違和感とは今感じた内容ではない筈なのである。
兵器の激しい攻撃に晒されつつも確実に数を減らしていってはいるものの、中々一掃という訳には行かず時間がかかる。
「天井も少しダメージが蓄積しているわね……最悪の場合崩落も……待って!?どういう事なの?
それにこの兵器の動き、幾ら連携を重視しているとは言っても……」
ふと上を見上げ、一部が僅かに崩れ落ちた天井を見て岬は何かを感じ取る。
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