第983話 エアロタウンの謎の先へ

「エアロタウンの内情については僕達の方でも謎に包まれていた、何しろ仙台魔王である父でさえも其の名前を掴む事こそ出来たものの、そこから先へと進む事は出来なかったんだ。

最も、次々と襲撃や作戦行動があって調査に集中できなかったというのも一因としてはあるけど……」


そう語る天之御の顔は何処か無念さを感じさせる様な印象も受けたが、星峰は敢えてそれに触れる事はしなかった、それ以上に重要な事が今はあると思ったからだ。


「それは分かったけど、それ程エアロタウンのガードは硬い物だったの?

私はデータベースで名前こそ見たけど、余り詳しく調べた事が無いの、それに今府エルスに残っているデータには殆どエアロタウンについて記載されている物は無かったわ」

「うん、人族側のデータでもそうなっているとなるとエアロタウンのガードは想像を絶する硬さだったんだと思う。

恐らくは必要最低限のデータと人員を交流という形で出向させていただけだろうからね。

断崖絶壁の上に建造されている街という点も其の疑念を加速させているよ」

「コンスタリオ隊長も、其の人員に過ぎなかった。

只、其の人員がブントの存在を疑い、疑念を抱いたというのは恐らく大きな誤算となるでしょうね」


天之御と星峰の会話は更に続き、エアロタウンの渦中には必然的にコンスタリオがいるという事を改めて実感させられる。


「それにしても、これだけ分かりやすくブントが行動を起こしてくれるとは正直思っていなかったわ。

奴等にとってもエアロタウンはそれだけ重要ということなのでしょうけど……」

「星峰の言う通り、魔神族側のブントが何らかの反応を示すという事は予測できていたけど、まさか無断出撃を行うなんてね……

で、しどろもどろの言い訳とは……一応配下でもあるから情けなくなるよ……」


どうやら今回の対応は星峰の計算の内だったようだが、それに続く天之御の発言は何処か自嘲している様にも見えた、否、実際しているのかも知れない。

それに対し星峰は


「それ以上に計算外だったのはコンスタリオ隊長が兵器を自分達の戦力として利用していた事ね……あれは単なる出向要員として行っていた訳ではない用に見えたわ……

もしかするとコンスタリオ隊長とエアロタウンの因果は私達の想像以上に根深く混沌としているのかも知れない。

下手をすれば暴発してコンスタリオ小隊が空中分解する危険性すら孕んでいる程に」


とコンスタリオの今回の行動の異様さを本人不在ではあるものの指摘する。

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