第982話 全ては掌の上で?

「まあ、コンスタリオ小隊がまさか機動兵器を早速自らの戦力として使うというのは流石に想定していなかったけど、今回はそれが寧ろ此方にとっても+に働いているわね、ブントの兵士も捕らえているのだから」

「しかもそのブントの兵士が捕われた戦乱は無断で起こした物、こうなればブントの一部は今後勝手な行動は出来なくなる……否、出来なくするというべきなんだろうけど」

「まさかここまでスムーズに話が進んでいくとはね……それだけコンスタリオ小隊にエアロタウンの事を知られたくなかったという事なのかしら?」

「かもしれないね……彼からの連絡によればエアロタウンではこの戦乱自体、無かった事にしているみたいだから。

だからエアロタウン内の住民はブントに属していないとこの戦乱があったという事自体気付いていない」

「徹底した秘密主義って訳ね、でもそれで軍隊が機能するとも思えない、何かやらかさない限りはね……」


星峰と天之御の会話から今回の一件が彼等の計画である事が伺えるが、それ以上にブントの秘密主義も垣間見える。


「で、コンスタリオ小隊が捕らえた兵士に付いてはどうする?ブントがもしその兵士に暗殺者を差し向けるとしたらその候補は当然……」

「キャベル内に潜伏している構成員が有力ね、だけど現状でもし失敗したら人族最後の砦であるキャベル内が分裂する事にもなりかねない、その点を考慮しても尚ブントが仕掛けてくるのかどうか……その辺りが気になるところね」

「自分達の利益しか考えていないとはいえ、最後の砦が崩れれば利益も何もないって訳だからね、そしてそう考えた場合、その兵士から情報を得られる可能性は……」

「五分五分といったところだと思うわ、最も、仮に情報が得られなかったとしてもブントが何らかの行動を起こせばコンスタリオ小隊は疑念を抱いてくれるでしょう。

逆に行動を起こさなければコンスタリオ小隊の身に危機が及ぶ事も無い、この辺りは化かし合いになるでしょうね」


星峰と天之御は尚も会話を続け、ブントの行動を注視するという見解を一致させる。


「それにしても、あの小隊の隊長がエアロタウンの出身者だったとはね……思わぬ形であの難攻不落と言われた街のデータを入手する事が出来たよ」

「私も話には聞いていたけど、こうして内部に入っていった所を見るとそれが事実であったという事を実感するわ。

そもそもブエルス内のデータを見るまではエアロタウンという名称自体知らなかったもの」


ここで二人は作戦から少し離れ、雑談のような内容の会話を始める。

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