第976話 錦を飾る帰還
「絶対に可能性がないとは勿論言えないけど、雰囲気から言うと虚言ではない可能性の方が高いわね」
「やはり、そう思いますか……」
コンスタリオの問いかけに対し、モイスはやっぱりといった印象の返答をする、それに対しシレットが
「あの狼狽えよう、今回の前線の様子、やはり詳細な目的までは兵士には伝えられていないと考えてまず間違いないでしょうね、指揮官がどうかは分かりませんが」
と言葉を続けるとコンスタリオは
「まあ、末端の兵士にまで詳細を細かく説明するなんて、裏側組織のやる事ではないわね、組織人であれば命令に従うのは当然の事なのだから余り其の辺りを突き回しても仕方ないわ」
と件の兵士の、少なくとも置かれている立場については理解を示す。
「あの兵士が所持していた荷物からも裏組織に繋がりそうな情報を得られそうな物はありませんでしたからね、情報端末に武装に食料、普通に作戦行動を行う兵士であれば携帯していても不思議はないものばかりです」
「端末については調べればなにか分かるかも知れないわね、其の点については今後調査の余地があると言えるかも知れないわ」
「あの兵士が体に何かを隠し持ってるって線も無いんですか?」
「ええ、あの兵士の全身をスキャナーで調べてみたけど服や体の中に何かを隠しているという反応は見つけられなかったわ、此方の技術を隠す高性能技術を裏側組織が持っているという可能性が仮にあるとしてもそうだとすれば少なくとも先程何かしらの反応を示している筈……みすみす調べさせるとは思えない」
兵士の周囲を調査した結果を口々に語り、三人は其の言葉に虚言は無いと判断する。
走行している内に飛空艇はキャベルの防衛部隊本部へと帰投し、一同はブエルス防衛部隊の司令官の元へと向かっていく。
「コンスタリオ小隊、現時刻を持って帰還致しました」
司令官の部屋を訪れ、ノックと共に扉を開けたコンスタリオは開口一番にそう口にする、それを聞いた司令官は
「そうか、で、収穫はあったのか?君の申し出を受けて調査を許可した以上、流石に何もありませんでしたというのでは困るぞ」
と、一見すると成果主義を体現したかの様な発言をする、だが其の顔は明らかに成果を早く見せろというような顔ではない。
コンスタリオ小隊が何かを知り、何かに気付いた事を確信した上で敢えてこう言っているといった顔であった。
「ええ、久し振りに古巣に戻ってみたら色々と知る事が出来ましたよ、それに手土産もね」
コンスタリオはそう口にするとエアロタウンでの一連の出来事を話す。
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