第977話 目利きのコンスタリオ

「そうか、其のような事が……」

「ええ、私の血族が今回の戦乱に深く関わっているというのは誠に唾棄すべき事実ではありますが、その御蔭で裏側組織について迫る事が出来たのも事実です」

「裏側組織……其の存在は確証があるのか?」

「まだそこまでは……ですがスターが齎してくれた情報が私達に不利益を招くというのは考えたくないですし、重要な情報だからこそスターも提供してくれたのだと思います」


この司令官とのやり取りからコンスタリオは今回の一件について余すところなく、更にはスターの情報や裏側組織についてまで話した事が伺える。


「それは分かったが、君達は今後どうするつもりなのだ?たとえこの戦乱が裏側組織に牛耳られているが為に起こっているのだとしても防衛部隊、更には軍隊という組織に属している以上、前線に全く出ないという訳にはいかんぞ」

「ええ、それは承知しています。

ですから今後は軍隊としての活動を行いつつ、其の一方で私達なりに裏側組織を調査する所存です」

「そうか……そこまで腹を決めているのであれば私から止める事はせん、それに兵士と兵器の身柄拘束という戦果も上げている訳だからな」

「ありがとうございます、では、失礼します」


詳細を話し終えるとコンスタリオは感謝の言葉を告げて一礼し、司令室を後にする。

そのまま自室へと向かおうとするがそこでモイスが


「隊長、宜しいのですか?彼処まで話して……」


とコンスタリオに対して不安そうな口調で話しかける。

どうやら司令官に対し裏側組織や兵士、兵器の事まで話した事について不安に思っているようだ。


「やはり不安には思うのね……」

「ええ、司令官が裏側組織側の存在でないとは言い切れません、ですが、隊長はそれを承知の上で今回の一件を詳細まで話したのではないか、そう思っている部分もあります」

「手前味噌って訳じゃないけど、その仮説で正解よ。

司令がもし裏側組織の構成員であるのならば此処まで知った私達に対し何らかのリアクションを起こして来る可能性が高い。

最も、流石に直ぐに何かをしてくるという訳では無い様だけど」


そんなモイスの不安に対し、コンスタリオは先程の会話は意図的なものであり、司令の出方を伺っている側面があった事をモイスに告げる。

最も、モイスも内心ではそう思っていた部分がある為その事実を聞いても余り驚きはしないようだが。


「反対に司令がもし裏側組織と対立する側の存在であったとしたらどうなると思います?」


シレットの問いかけに対し、コンスタリオは


「そうね……恐らく私達が知った事を彼等に伝えるでしょう」


と返答する。

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