第975話 兵士の仮面の下
「その顔……どうやら図星みたいね。
そしてその目的は恐らく、私達が調査していた施設を制圧する事、いえ、正確に言えば私達に調べられるのを阻止、妨害する事なのでしょう?」
そんな兵士に対し、コンスタリオは益々詰め寄る様に迫っていく。
その顔は無表情だが怒りを感じさせる能面の様な印象が感じられた、それに対し兵士は
「そ、それは……その目的は……」
「その目的は……何なの?」
兵士の受け答えは恐れ多い声となっているが、それに対するコンスタリオの表情は一向に変わる事が無い、最早鬼気迫るというよりも鬼気を超越している様な印象すら受ける。
だがそれに対して兵士が何か言葉を発する事は無い、その表情はコンスタリオだけではなく、何か別の存在に怯えているようにも感じられる。
「そ、それは知らない……俺達には明確な目的は伝えられていないんだ!!」
そんな兵士が絞り出した様に発した言葉はこの一言のみであり、その返答を聞いてモイスは
「そんな言い草が通じるとでも思うのか?」
と迫る、だが兵士は
「ほ、本当だ!!確かに施設の制圧命令は受けてはいたが、その目的までは伝えられていないんだ!!」
と同様の主張を繰り返す、それを聞いたコンスタリオは
「そうなの……?」
とゆったりとした口調で問いかける、だが能面のような顔ではそれが寧ろ恐怖を感じさせる。
「その通りだ……それに、俺達は人族部隊の予想外の抵抗にあっているんだ!!もし裏側組織同士ならそんな事をすると思うのか?」
「そう見せかける為に……って事もあるわよね、そうじゃないと言い切るなら貴方の身包みを剥がさせて貰っても良いのかしら?」
「く、くそっ……今ここで死ぬ事が無いってんなら好きにしやがれ!!」
「じゃ、そうさせてもらうわね」
兵士が必死で絞り出した言葉に対し、コンスタリオ小隊は尽く適切なとは言わないまでも様々な言葉を発して論破していく。
そして兵士が遂にヤケになったかのような発言をするとコンスタリオは
「さあ、調べさせてもらうわよ」
といって手にしていた小型端末から兵士に向けて光を照射し、その間モイスとシレットは兵士の鞄から荷物を出して調べ始める。
それが終わるとコンスタリオは
「なら、後はこれに任せるとしましょうか」
と言ってその場に兵器を呼び寄せ、モイス、シレットと共に部屋の外に移動する。
そしてそのまま操縦室に行くと
「あの兵士、虚言を発しているように見えましたか?」
とモイスがコンスタリオに問いかける。
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