第974話 事実への活路

故郷にこれだけの暗部が隠されており、更に外部で戦闘まで起こったにも関わらずその状況の確認もしないままに立ち去っていくコンスタリオ、それはシレットとモイスからすればこれまでのコンスタリオからは考えられない行動であった。

少なくとも戦闘があったのであれば其の現場状況の確認位はこれまでしてきていたからだ。

そんなコンスタリオの後を追ってシレットとモイスも飛空艇に乗り込んでいく。

飛空艇に乗り込んだコンスタリオは真っ先に操縦室へと向かい、飛空艇を動かしてから医務室へと向かう。


「何故飛空艇を先に動かすのです?先程の兵士を医務室に運んでいたのは私達も確認しましたけど……」

「先に動かしておけば万が一にも逃げられる事は無いでしょう、此処からの逃走を許したら折角の手掛かりがふいになってしまうからね」


シレットの疑問に対するコンスタリオの返答は確かに正論ではあるものの、それでもシレットとモイスには何処か腑に落ちない部分があった、それだけ今回の作戦におけるコンスタリオの行動には不可解な点が多すぎるのだ。


「さて、そろそろ気がついている頃かしらね、それとも既に目が覚めているのかしら?」


コンスタリオはそう言いながら医務室の扉を開ける、するとそこには先程モニター越しに姿を確認した魔神族の兵士が既に目を開けて待っていた。


「お前達は……先程の戦場には居なかったが、一体どうして俺を……」

「別に助けた訳じゃないわ、只情報が欲しいだけよ」


兵士がコンスタリオに問いかけるとコンスタリオはあっさりとこう返答する。

其の返答自体は事実ではあった、だがそれをあっさりと返答してしまう行動にもシレットとモイスは疑念を抱く。

何かの狙いがあるのか、それとも……という考えが生じて離れない。


「ふん……俺が早々に情報をお前達に話すとでも思うのか?」

「確かに話はしないでしょうね、あんた達が所属しているであろう裏側組織は極端な秘密主義のようだし、迂闊な発言をすれば自分の元に暗殺者が送り込まれかねないものね」


兵士は自信満々に強気な顔を見せるがコンスタリオの返答を聞き、その強気な顔が一気に引いていく……とまでは行かないものの、少なからず動揺した表情になっていくのは確認出来る。


「裏側組織だと……一体何の……」

「あんたの其の反応がそれが存在しているという事を逆に証明しているわよ。序に言っておくとさっきのあの戦場、人族部隊も魔神族部隊もどちらも裏側組織に所属していたのでしょう」


兵士の表情はコンスタリオのこの一言により益々引いたものになっていく。

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