第965話 遅すぎるサイレン
「そうだとするならやはり此処で製造されて、そして直ぐに迎撃に向かってきた、そう考えるのが妥当な線ね、態々他の場所から製造した兵器を此処に持ち込んで迎撃させるなんて回りくどいもの。
只、どうしてそれをスムーズにやらなかったのかという疑問はあるけどね」
「スムーズにやらなかった?」
「ええ、昨日私達がデータベースを探っている時、この兵器達の迎撃は直ぐには行われなかった、かと言って重要なデータを毀損するのを避ける為に迎撃そのものを行わなかった訳ではない。
どっちにしても中途半端な感じが否めない迎撃だって事は分かるでしょう」
「そう言われればそうですね……ですが、それを承知の上でこの迎撃システムを組み込んだのだとしたら其の理由は……」
「中途半端に誰かが見て、その生命が襲撃を受ける事案が発生したか、或いは全く見当もつかない理由があるのか……」
モイスが目撃した窓からの光景を基準に一同はどんどん会話を広げていく、だがそこでモイスが
「けど、あれだけの兵器が生産されているんなら一体どこに格納されているんだ?
幾らこの施設が広大であるとは言っても流石に格納出来る数には限度ってもんがあんだろ」
と新たな疑問を投げかける。
「確かにそうね……格納出来る数に限度がある以上、無限に作り続ける訳にはいかない筈でしょうから、考えられるのは余剰分を外に出しているか、或いは兵器同士を戦わせて性能の向上を図っているのか……」
「シレットの仮説の前者が正解よ、さっきデータベースで調べてみたけどこの生産ラインの先は何処か別の場所へと繋がってる。
そこが何処なのかまでは書かれていなかったけど、恐らく余剰在庫はそこから外に出されているのよ」
それに対してシレットが仮説を立てるとコンスタリオがすかさず其の一部を肯定し、それが正しいという事が裏付けられる。
「其の先が何処かは分からないんですね……なら!!」
恐らくは直接行って調べてみようと言いたかったのだろう、シレットが総口にしながら足を動かそうとしたその時、施設内にサイレンが鳴り始める。
「サイレン!?私達が侵入した事が外にバレたの!?」
「だったら一日以上間を明けて鳴らしたりしないだろ、何か他の事でサイレンが鳴り始めた可能性の方が高い」
シレットの発言にモイスが突っ込むとコンスタリオは
「漫才みたいな事をやっている場合じゃないわよ、只、モイスの発言は正解ではあるわ」
と二人のやり取りに苦言を呈しつつも其の内容は正解である事を告げ、近くにあった部屋の機材の前に座る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます