第957話 隠される兵器

コンスタリオ小隊は更に其の戦乱について調査を続けていく、だがこの戦乱はそもそも何方が先に仕掛けたのか、其の点からそもそも曖昧になっており、それが逆にコンスタリオ小隊の疑念を強める。


「隊長の血族が途絶えたこの戦乱……調べれば調べる程疑問だらけなのに決定的な部分が出てこない……やはりこれも裏側勢力の工作なのでしょうか?」

「そうかも知れないけど、だったら尚の事此処で立ち止まる訳にはいかないわ、此処で立ち止まってしまったらせっかく迫った核心がまた離れてしまうもの」


シレットが少し不安げな声を上げるが、コンスタリオはそれでも尚調査を続けていく。今の自分に出来る事はそれだけであるという気持ちがそれを後押ししていた。

するとそれが届いたのか、さらなる情報としてこの戦乱には兵器も投入されていたことが判明する、いや、それだけでは新情報とは言えないかもしれない、だが一同が見た其の情報の中には少なくともこれまで確認した事が無い兵器の記録が確認されていた。


「これは……この洗浄に投入されていた兵器は見た事も聞いた事も無い物ね……だけど、それだけじゃない」

「ああ、この兵器の戦闘能力は明らかにこれまで交戦してきた殆の兵器を上回っている、けどそうならどうして、ずっと前に作られていた筈のこの兵器が人族側、魔神族側共に配備されていねえんだ?」


コンスタリオが其の兵器についての感想を呟くとモイスもそれに続ける。

二人が言う様に其の兵器の性能はこれまでの兵器、更に言ってしまえば現在人族部隊に配備されているほぼ全ての兵器を凌駕しうる物であった、だがそれが現在配備されていないという事実が一同を悩ませる。


「高性能な兵器の配備を出し惜しみする理由なんて、生産コストくらいしか考えられないし、それにしたって少なくとも主要拠点には配備するでしょう。

それすらもなされていないのだとすれば、其の理由は……」

「この兵器が裏側勢力が用いているものであり、表に出せないような何らかの事情がある、あるいは隠しておきたい理由がある、そんなところだとは思うけど、この2つの何方であったとしても厄介ね。

そしてそんな物を、少なくとも人族側が投入しているとするなら」


コンスタリオが立て続けに語ったこの言葉は人族部隊が通常では考えられないような展開をしているという事を改めて印象づけると共にこの戦場の異様さを表していた。

更に人族側が其の様な兵器を投入しても尚敗北している、そこまで含めると尚の事奇怪な現状として認識される。

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