第955話 血族の呪い

「はっきりそうとは言えないけどね……実力を付けさせて優秀な後継者にしたかったのかもしれないし、現状に疑問を抱かせない為にひたすらにそうさせ続けたのかもしれない。

……あったわね、やはり私の血族の中からほぼ一代に一人のペースで外部に凱旋している一員が居る、それはやはり伝統なのでしょうけど……」


はっきりとは言えないと言いつつもコンスタリオの発言は明らかに明確なものであった。

それは自身の仮説に対し大きな自信があるからに他ならないのだろう。

その直ぐ側で見ているシレットとモイスもそれを察していた。


「問題なのはそこではない……と?」

「ええ、問題なのは誰がどういう基準でそれに選ばれているのか、単に能力が高いというだけで選んでいるのであればさして問題にもならないけど……」


シレットの問いかけに対するコンスタリオの返答は外部への凱旋者が一体どの様な基準で選ばれていたのか、その視点についての疑問がある事を明確に表していた。

そしてコンスタリオは自身以前の凱旋者を中心にどの様な生命がどの様な来歴で凱旋したのか、又戻ってきたのかを調べていく。

そしてその共通点を発見したのか近くで見ていたモイスが


「……ありましたね、共通点」

「ええ、私以前の凱旋者は何れも凱旋した後、戻ってきた者、そうでない者を問わず何らかの特殊部隊に配属されている。

しかもその特殊部隊は何れも表立って動いている記録が無い、しかし此処にはその活動記録が残されている部隊、ということはつまり……」

「その特殊部隊は問題の裏側組織の所属部隊、それも表に出せない様な活動をしている部隊であるという事。

しかも此処に書かれている事を見る限り、その部隊が行っているのは暗殺や戦乱の煽り等、この世界を平穏に導く行動とはかけ離れたものばかり、恐らくはこれがスターの言っていた暗殺部隊なのでしょうね」


と告げたのを皮切りにコンスタリオ小隊はコンスタリオの血族が裏側組織とつながりがあった事、そして裏側組織がこの世界の戦乱を止めるのが目的ではないということを確信する。

そのままコンスタリオは更に自身の血族について調べていく。

すると自身の血族がこの凱旋以外にも様々な面で裏側組織に協力している事、エアロタウン自体がやはりその裏側組織の手で作り出されたタウンであった事等を知る。


「やはりこのタウン自体、裏側組織によって作り出されていたんですね、でも……」

「ええ、最大の疑問は何故私を残してこの血族が滅びたのか……」


モイスの疑念に対するコンスタリオのこの血族という返答に違和感を覚えつつもシレットは敢えてそこには触れなかった。

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