第954話 コンスタリオの血筋
だが其の恐怖に負けてばかりも居られない、内心でそう思う事でコンスタリオは自身を奮い立たせ、其の手元の機器を操作させていく。
其の手捌きの速さは自身の中にある迷いを振り切ろうとしているようにも見える。
「このタウンがもし、裏側勢力の拠点となる事を前提として作られているのだとしたら、そこに居を構えている生命も……そして、そうだとするならこのタウンが外部と殆交流を持ってこなかったのも……」
コンスタリオの内心には次々と疑問が浮かんで来る、それを確かめようとする手元の機器の操作も必然的に早くなっていく。
するとコンスタリオは先程シレットとモイスに見せたデータのページから更に何処かへと移動させ、データベースから一旦離れる。
「隊長!?データベースから離れて何を……」
データを調べるというのが目的の筈なのに明らかに其の目的から離れた行動を取るコンスタリオに困惑するシレット、だがコンスタリオはそんなシレットを尻目に別の記録のページを開いていく。
「他にも記録が残っているのですか?一体何の……」
「この記録は私が幼少期に眺めていたというか、眺めさせられていたというか……そういう記録なのよ」
シレットが質問し、コンスタリオが答えるその間にも其の手元は止まること無く動いていく。
そして其の動きが止まった時、目の前のモニターには歴史の様な文章が映し出されていた。
「隊長、これは……」
「私の血族の家系図と来歴よ……もし私の一族が裏側勢力に加担しているのであればここから裏側勢力に迫る事が出来るかもしれないわ」
文章を見たシレットがコンスタリオにその文章の詳細を聞くとコンスタリオはこう答える。
だが其の答えは明確であったが、声の抑揚は明らかに乱れが感じられた、迫る手掛かりが見つかればいいという思いと見つかってほしくないという思い、双方が入り混じっているようにも聞こえる。
いや、実際入り混じっているのだろう、もし見つかったとすれば、それは自身の血族が裏側勢力に協力しているという事実が決定的になってしまうのだから。
其の入り混じった感情を抱きながら、コンスタリオは文章に目を通していく。
「最も最初に記述されている来歴はかなり大昔ですね……それだけ歴史ある名家だったのですか?」
「さあ……家の筋なんて考えたこともなかったから。
ただ実力をつけて行くように言われていただけなのよね、だけど……」
「其の意図が今なら分かる……という訳ですか?」
シレットの問いかけにコンスタリオが答えると今回はモイスもその後に言葉を続ける。
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