第942話 引き返せない先へ
「引き返せなくなるって……それだけ重大な情報が書いてあるって事なのかよ……」
「ええ、それもこれは冗談で言っているのではないわ、本当によ」
「もとから引き返すつもりなんてありません、いえ、私の勘ですけど既にもう引き返せない所まで来ていると思います」
コンスタリオの確認を耳に入れつつもモイスもシレットもその顔には元より引き返すつもり等無いという覚悟が溢れていた。
それを感じ取ったのかコンスタリオは
「分かったわ、じゃあ読み上げるわね」
と言って先程から休眠状態にしていた情報端末の画面を表示する。
「この世界の戦乱を巻き起こしている裏の存在にはお抱えの暗殺部隊が存在しており、裏の存在に迫ろうとしたり、離反を目論んだりした者は尽くその毒牙にかかっている。
一方、其奴らの手によって手にかけられた者の関係者は裏の存在に勧誘され、その勢力の拡大のために利用される。
この自作自演が奴等の手口です。
しかもそれは当人が知らない所で行われます、恥ずかしながら自分もこの策略に乗せられていました……
故に裏に迫っていくとなるとこのお抱えの暗殺部隊との戦いは避けては通れないと思います、くれぐれも警戒を怠らない様にして下さい」
表示されている文章をコンスタリオが読み終えると、シレットもモイスも驚嘆の表情を浮かべる。
「お抱えの暗殺部隊……だとするとこの裏側勢力は相当なレベルで軍隊を侵食しているのかもしれませんね……」
「ええ、それに最悪の場合、私達もこの裏側と暗殺部隊の手口に乗せられているのかもしれない」
「どういう事だよそれ!!」
シレットとコンスタリオがスターの文章に対する私見を述べるとモイスは困惑した声を思わず大声で上げてしまう。
それほど衝撃的な内容だったのだ。
「もしかしたら私達が軍隊に入隊した事自体、その裏側の勢力によって仕組まれていた部分が少なからずあったのかもしれないって事よ。
現にスターは気付かない間に裏側勢力の手口に乗せられていたと言っている、もしスターが軍隊に入隊した事自体がこの裏勢力によって仕組まれていたのだとしたら……」
「待って下さい、確かスターはお父さんを殺されて、それから縁があってルイナ王子と……まさか!?」
「スターの親父さんを手に掛けたのがその裏勢力かもしれねえって事か!?そうだとしたらその戦場で襲ってきた魔神族の部隊は……」
「魔王の軍勢ではなく、その裏側の指揮下の軍勢である、そう考える他ないわね」
その衝撃は言葉だけでなく、コンスタリオ小隊に飛躍した仮説も立たせていく。
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