第928話 先代より継ぎし物
「そういえば星峰、今朝早く例の司令官から襲撃について纏めた資料が届いたよ。
流石に昨夜の出来事があったから下手な隠し事はしていないと思うけど」
「昨夜の出来事というのは先程殿下がお話されていた暗殺部隊の一件でしょうか?」
天之御が思い出した様に星峰にそう告げると岬がこう言葉を続ける。
どうやら既に昨夜の暗殺の一件については承知しているようだ、最も、遅く来た涙名も他の面々が暗殺部隊について深入りしてこないことから既に承知しているということは予測していたが。
「そちらについても合わせて検証しておくわ、もしかしたら涙名の夢の件に繋がる手がかりになる可能性もゼロではないから」
星峰はそう告げて天之御に微かに笑顔を見せる、どうやら資料が来るのを待ち望んでいたようだ。
「なら、資料と暗殺部隊の情報についての事は星峰に任せて僕達は僕達の役目を果たそう」
天之御がそう告げると涙名以外の面々が納得した表情を浮かべて頷く。
一方、只一人何をするのかを分かっていない涙名は
「え!?何!?何の事なの!?」
と明らかに困惑した声を出す。
その様子を見た天之御は
「ああ、涙名には話してなかったね、星峰に資料からデータを検証して貰っている間、僕達は魔王の城、僕達の本陣に記録されているデータを改めて検証しようと思っているんだ」
と話す。
それを聞いた涙名は
「本部のデータ検証?一体何の為に?」
「勿論ブントに迫っていく為だよ、父は……いや、少なくとも何代か前の魔王はブントに気付き、迫っている。
それを僕も引き継いでいるんだけど、よく思い起こしてみると先代の魔王がどれ程ブントに迫っていたのか、その点をしっかりと検証した事が無かったんだ、だから今、先代が残してくれているブントのデータを検証してみようと思う」
質問を天之御に話し、その返答に何処か納得した表情を浮かべる。
「先代の魔王……そうか、天之御も僕と同じ様な立場だったってこと、忘れてたよ。
最も、僕は逆に先代がブントに協力していたけどね……」
そう返答した涙名は何処か納得した声を浮かべていたものの、同時に少々の気落ちも感じられた。
父親がブントに協力していたという事実を今でも重く受け止めているのかも知れない、そう思わずには居られなかった。
「で、君はどうする?その先代が残したデータを調べてみるのもいいと思うけど……」
「いや、僕も一緒に行くよ、人数は多い方が良いと思うし、此処のデータも膨大で一人で調べられるレベルじゃないしね」
天之御の提案を受けつつも涙名は自身も魔王の城に同行する事を決める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます