第916話 機械の指揮者

街中の四方八方に散開した一同はその行った先でそれぞれに進行してきている兵器と交戦する。


「この兵器達、街を囲う様に部隊を展開している……けど本部の熱源反応を確認した時は単なる一纏まりの集団でしか無かった筈……一体どうやって部隊を展開したの?」


進行してきた兵器と交戦しながら星峰はこの部隊展開に疑問を抱く、そしてその疑問は目の前に居る兵器の行動パターンが明らかに統率の取れているものである事から更に強まっていく。

だがそれを考えている余裕等無かった、星峰は一先ず疑念を脇に置き、目の前の兵器との交戦を続ける。


「くっ、総司令部が機能していないのか……防衛部隊が総崩れになっていたな……さっきの天之御殿下の行動がなければ本当に陥落していた可能性もあるぞ……」


八咫はそう口にしながらも交戦体制をキープし、街中に進行しようとする兵器を食い止め破壊していく。

その他の場所に向かっている面々も同じ様に防衛戦を繰り広げる中、一人遅れて戦場へと向かった天之御はまだ誰も来ていない部分の戦場へと辿り着く。

その方角は初めに熱源が観測された方向であり、恐らくは兵器が来たと思わしき方向であった。

だが其処に居る兵器の数は思いの外少なく、この方向から進行してきたとは思えない。


「こっちの方には兵器は殆ど居ない……か、だとするとその理由はっと……」


天之御はまるで当初からそう予測していたかのような発言をするとそのまま手を上に翳し、そのまま兵器に手から放った雷を落として破壊する。

恐らくは魔王妖術なのだろう、その雷に貫かれた兵器は瞬く間に鉄屑の山と化す。


「さて、こっちがこうなっているという事は……」


天之御はそう呟くと転移妖術を発動させ、そのまま何処かへと転移する。

その移動先は先程の部隊が展開していた方角とは真逆の方角にある場所であった。

其処には先程とは打って変わって多くの兵器がおり、その中心部には大型の兵器も見える。


「やっぱりね、こっちに居るのが本命の指揮官機って訳か、まあ、さっき上空から見た光景で予測はついていたけどね」


そう、先程天之御が上空に飛翔した時、気付いていた、進行してきた方向に兵器が既に殆ど居ないという事に。

そしてその場所を特定する為に敢えて先程の場所に向かっていたのだ。


「こんなところに大型兵器が……って事はつまり、此奴が指揮官と考えてまず間違いない」


その指揮官が動き出すと周囲の兵器も一斉に攻撃態勢を取る。


「攻撃は早くするべきだったね、せっかく長話をしてあげたのに」


天之御がそう呟いた次の瞬間、兵器の居る場所の地面が崩れ始める。

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