第903話 脅威よりの帰還
その言葉をきっかけにモイスとシレットも兵器の集団に向かっていき、シレットは魔力を集中して開放状態となる。
「シレット!?その状態は……」
「大丈夫!!この前みたいに倒れたりはしないわよ」
その状態になった事を確認したモイスが一瞬心配した声を上げるが、シレットはそれを大丈夫と言い切って兵器の集団に向かっていき、魔術で雷を纏わせた剣を抜いて兵器に切りかかっていく。
やはり太古の兵器といえど過度の電力には弱いのか、兵器はその雷を内部に流されてその機能を停止していく。
兵器も反撃してくるが、モイスとコンスタリオは敢えて挟撃させる事で兵器の連携が取れている事を逆手に取り、その攻撃の精度を落としていく。
「連携が取れているというのは素晴らしい事だけど、それだけじゃ駄目なのよ!!」
モイスとシレットの乱入で出来た鋤を突いたコンスタリオも格闘術へと持ち込み、次々と兵器を破壊していく。
そしてその活躍もあり、兵器の殲滅には成功する。
だが兵器を退けたというのにコンスタリオ小隊の表情には全く余裕が見られない。
「防衛用の兵器でこれだけ苦戦したというのは過去に例がないわ……もし、この先に更に強力な兵器が待ち受けているとしたら……」
「個々の調査は想像以上に厳しい物になると言わざるを得ないですよね……ですが、それを知る事が出来たというのは大きいのではないでしょうか?」
「そうだな……少なくとも何らかの対策を打つ猶予は確保出来た訳なんだから」
防衛兵器の性能がこれまでの兵器を明らかに上回っていたという事実はコンスタリオ小隊の面々に重くのしかかる。
だがコンスタリオ小隊はそれを好機と捉えようと務める。
それでも不安を完全に拭い去る事は出来ないが、少しは気持ちが前向きになるのを感じる事は出来た。
「そろそろ戻って報告しましょう、この遺跡の事も含め、一度色々話す事が必要だわ。
今回の一件は色々と豊作だったもの」
コンスタリオがそう告げるとシレット、モイスも同意し、一行は停めてある飛空艇の元へと向かう。
そのコンスタリオの内心には
「此処を調査する様に命じた司令官も含めてね……」
と微かにではあるが司令官に対する疑念も浮かんでいたのだが。
そして飛空艇に乗り込み、キャベルへと帰還するとコンスタリオ小隊は早速司令官の元へと向かい、今回の出来事の一部始終を報告する。
「そうか……既に此方側の部隊が調査した形跡があったか……」
司令官はそう口では言うものの、表情はやはりか……と言いたげなものであったのをコンスタリオは見逃さなかった。
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