第901話 空間を歪める驚異

「つまり、防衛部隊と交戦する機会が飛躍的に増えたって事ね……それだけ早急にこのエリアを発掘する必要性が生じたのか、それとも中断期間が挟まった事で焦りが生じたのか、何方にしても防衛部隊が他とは比較にならないレベルで危険な可能性は十分考えられるわね」

「ええ、だからこそ警戒しておく必要があると思います。

今の時点ではあくまで此処の防衛部隊としてしか機能していないのかも知れませんが、万が一其の兵器がここから進行してくるなどという事態が発生してしまったら……」

「最悪は南大陸が魔神族の進行ではなく、内部からの攻撃で崩壊する事になるか……最悪のパターンではあるが、考えられない話ではない以上厄介だな……」


資料から読み取れる防衛部隊の危険性はコンスタリオ小隊の警戒心を抱かせるのに十分な物があった。

そして其の警戒心を確かめるべく、一同は一通り資料を読み終えた後、シレットの提案通り資料に記されていた遺跡の入り口へと向かう。


「個々がその入口ね……周囲には発掘作業用の機械と其の防衛用と思われる人族部隊の兵器が散乱していますね……」

「ええ、そして其の周辺の状況を見る限り、最後に個々で戦闘が行われてから明らかに少なくとも数ヶ月、場合によっては数年規模で時間が経過しているな。

その戦闘を最後に再び中断したのか、それともその戦闘で部隊が全滅したのか……」


発掘現場の入り口に辿り着いたシレットとモイスが口々に感想を述べ始めると其処に突如として兵器が出現する。


「!?兵器がいきなり現れた……転移魔術を使ったとでも言うの!?」

「其の可能性もあるけど、それ以上に気になるのはどうして今このタイミングで兵器が現れたのか……よ。

私達が此処に来る事はさっきの資料室の話でしか出ていなかった筈……にも関わらず狙いすましたようにこのタイミングで兵器が出てきたという事は考えられるのは……」

「俺達が来る事を見ていたか、或いはこの入口に入ってきた時点で作動する何らかの反応装置をこの現場に仕掛ていたか……どっちにしても厄介な話って事は言えるがな!!」


コンスタリオ小隊が口々にそう告げている間にも防衛部隊の兵器は瞬く間に迎撃体制を整え、コンスタリオ小隊に攻撃を仕掛けてくる。

しかも其の狙いはこれまで交戦してきた兵器と比べて明らかに精度が高く、不意を疲れたとはいえコンスタリオ小隊が思わずかすり傷を追ってしまう。


「つっ、かすり傷程度で済んだといえば済んだけど……」


コンスタリオはそう言うと何とか反撃に移ろうとする。

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