第900話 地下に眠る驚異

「つまり、今の内にその捜索先が何処にあるのか知っておいた方が良い、そういう事?」

「ええ、根拠の無い勘でしかありませんが、遅かれ早かれ私達は其の遺跡に行くことになると思うんです。

なので今の内にその入口だけでも把握しておいた方がそうなった時にスムーズに調査に入れるのではないかと」


シレットの提案を更に詰めていくコンスタリオ、シレットもそれを察したのか明快に提案した理由を告げる。

其の理由を聞いたコンスタリオは


「そうね、其の可能性は十分考えられるわ。

只、そうは言っても下手に藪を突くのも得策ではない、だからまずはこの資料を全て確認し、其の上で向かいましょう」


とシレットの提案を受け入れつつも一旦は保留する事を告げ、それを聞いたシレットは


「そうですね、私自身、其の方がいいとは思っています。

なのでまずはこの資料の確認を急ぎましょう!!」


と言って資料調査を再開する。

其の様子は提案を受け入れてもらってはしゃいでいる様にも若干見えるが、其の顔からは全く笑顔は見られない。

それだけ先程脳裏に浮かんだ予感が強いということなのだろう。

そのまま資料調査を続け、コンスタリオ小隊は徐々に其の発掘現場の全容を掴んでいく。


「中断していた発掘作業が再開された後、其のスピードは遅れを取り戻す為か加速度的に早められた。

だけど、強引に早めたことはやはり歪を生み出した」

「そういうことみたいだな、先史遺産の防衛装置を起動させ、其の戦力と真っ向から激突する羽目になったというのは幾つもの資料に書かれている」

「そして其の性能はこれまで交戦してきた先史遺産の防衛兵器を明らかに上回っている……か、どうやら此処に眠っているのは先史遺産の中でもかなり危険度が高い物と考えてまず間違いなさそうね」


コンスタリオ小隊が資料を見ながら呟く言葉は此処で発掘されていた物が如何に危険

なものであるか、其の事を説に物語っていた。

更にそれだけではなく


「既に犠牲者も出ている……補充要員が何度か来ており、且つそれで空いた穴をカバーする事は出来ているが、それでも犠牲は確実に出ている。

此方の技術も進歩したにも関わらず何故この様な事になっているのか……」

「つまり、中断する前にも防衛部隊の兵器と交戦したという事なの?」

「かも知れません……中断前に記述された資料にも防衛部隊と交戦した記録が幾つか残っています。

只、中断後と比べると明らかに件数は少ないですね」


と、防衛部隊の危険性を明確にする記述もなされている。

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