第859話 ガラス張りの疑念

そして兵器の群れがガラガラと音を立てて崩れていくとそれを見ていた星峰が


「太古から続く戦争……その元凶をなんとしても断ち切らなければならないわね」


と呟く。

その呟きに対し天之御は


「ああ、その為にもこんな所で立ち止まってはいられない」


と告げる。


「だけど……何か引っかかりませんか?どうしてこの施設は外から構造が丸見えになっているのでしょうか?

幾ら透明な壁で守っているとは言ってもこれじゃ外からの襲撃に対して構造が丸見えです。

そんな事をすれば重要施設を集中的に狙われるのは火を見るより明らかでしょう」


ここで空狐がふと口からこの施設に来た当初より感じていた疑念を口にする。

無論、その疑念は他の面々も内心に抱いてはいた。

だが空狐がそう口にした事によってその疑念が一人ではない事が分かり、その疑念はより強いものとなる。


「それは僕も気になっていたよ。

もし敢えてそうする理由があるのであれば、それは敵の目をそこに向けさせるつもりなのか、それとも他に何か狙いがあるのか……」


と呟く。


「考えられるのは敢えて狙わせて一網打尽にする気なのか、それともここは襲撃されないという自信があるのか……

まあ、海底に構えている以上大群を投入しての総攻撃というのも中々やりにくくはあるのでしょうけど」


星峰も又、この施設の疑念に対しそう呟く、その呟きは星峰も又、この施設の疑念に対し明確な返答が出せない事を意味していた。


「確かに気にはなるけど、今ここでそれを話して立ち止まっていても仕方ない。

そもそも、ここで製造されていた兵器が地上に現れかけた以上、この施設を放置しておく事自体が十二分に驚異になるんだ」


天之御のその一声で一同の意識は今、目の前に戻り、そのまま先へと進んでいく。

すると今度は道が2つに分かれており、その先には更に様々な部屋がある事が分かる。


「ここで分岐通路ですか……どっちに言っても碌でもない物がありそうですけど」


岬がそう言い切ると他の面々も言葉にこそ出さないものの、その内心では完全に同意していた。


「そうだね、だけどここで立ち止まっている訳にはいかない。

どっちに向かうか決めないとね。

ただ、この施設の事が良く分からない以上二手に分かれるのは危険すぎる。

ここは一方一方確実に回ろう」


天之御のその案に反対する意見は出なかった、だがそれは魔王に盲目的に服従しているという訳ではない。

天之御の発言に対する説得力がしっかりあるからこそである

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