第860話 魔窟の扉
そして天之御の先導の元、一同はまず右の通路に進んでいく。
その先には更に3つの部屋に分岐する道があり、その先にはそれぞれ扉があった。
「3つの通路に3つの扉か……此の中の3つ共が当たりなのか、それとも全て外れなのか……」
空狐が少し極端とも言える仮説を立てるが、それを極論と諭す者はいない。
実際その可能性は擬態兵器を確認した時点で十二分に考えられたからだ。
だが、だからといって立ち止まる理由にもならない。
一同はまず正面の扉に向かい、そのまま扉に手をかけようとする。
だがその瞬間、扉から剣が生えるように飛び出してきて一同を貫こうとする。
「くっ、やはりこういう罠が仕掛けられていたのね……」
空狐は剣を避けるとその剣を手にしている自分の剣で切り落とし、そのまま視線を再度扉の方に向ける。
すると扉からは更なる剣が飛び出そうとしていた。
「そうはさせない!!狐妖術……朱色の針山」
空狐はすかさずそう叫ぶと自身の目の前に赤い針を無数に出現させ、その針を伸ばして先に扉の全体を貫く。
そしてその扉は剣が出てこなくなったと思うとそのまま静かになり、その場から後ろに倒れ込む。
するとその奥には一つの部屋が広がっていた。
「これは……成る程、当たりでも有り、ハズレでもあるって訳か」
涙名がそう呟くと同時に一同は扉の奥にある部屋へと足を踏み入れる。
するとそこには日用品や寝床、更には食料や娯楽用品まで有り、明らかに兵器とは異なる生命が居住していた痕跡があった。
「これは……生命が生活していた痕跡がありますね。
一応寝床もありますが、何方かといえばリラクゼーションルームの様な雰囲気があります。
太古の戦争時代にもこうした物は存在していたのでしょうか?」
「存在していたとしても不思議はないさ、流石に四六時中戦争をしていたという訳ではないだろうし、こんな殺風景な施設で何にも娯楽がないというのは流石に堪えられなかったのかもしれない」
「妙な所で生命の雰囲気を出しているんですね……此の技術をもっと別の形で活用していれば世界は違っていたのでしょうか?」
「恐らくはね……だけど、それをさせない奴が此の戦争の背後に居る、そいつを討たない限り、戦争は終わらない」
空狐、天之御、星峰がそう会話し、星峰の言葉に全員が頷く。
その場にいた全員がその背後に居る存在に気付いているのだろうか。
「扉の絡繰は分かりましたが、ここでは大きな情報は得られそうにないですね」
岬がそう告げると一同は同意し、その部屋から立ち去っていく。
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