第849話 封印の奥の驚異
「此の状況……呑気に調べている時間はありませんね……急がなくては!!」
空狐のその発言と共に一同は扉に向かって行く、そして天之御が
「魔王妖術……純黒の正穴!!」
と言うと扉に魔法陣が出現し、その部分が空洞化する。
「皆、あの穴に飛び込んで!!」
という天之御の指示に従い、一同は魔法陣で出来た穴の中に飛び込んでいく。
そしてそのまま扉の向こう側、爆発音が聞こえたような場所に辿り着くと周囲を見渡し、一体何処で何があったのかを調べ始める。
すると奥の方から煙のようなものが上がっているのを岬が見つけ、一同はその方向に駆け寄っていく。
するとその途中で再び爆発音が聞こえ、更に今度は機関銃を発泡する音や何か金属が落下した様な鈍い音も聞こえてくる。
「今度は機関銃や金属音まで……一体何が起きているの?」
空狐が内心で疑問を抱くがその疑問の答えが出るのに掃除感はかからなかった、一同がその金属音が聞こえた場所の近くに辿り着くとその奥から人族、魔神族の混成部隊と先史遺産の兵器らしき小型兵器が交戦しているのが見えてきたからである。
「あれは……兵器と交戦しているということは彼等が調査部隊なのか!?」
「そう考えるのが妥当な線ね、とにかく此処はこうしてはいられない!!」
八咫が驚いた声を上げるとそれに続ける形で声を上げ、且つ先んずる形で天之御が走っていく。
そして部隊と兵器の交戦エリアに介入すると天之御は兵器に対し格闘戦を仕掛け、その一撃で次々と兵器を破壊していく。
「天之御殿下!?どうしてこんな所に……」
突然天之御が現れた事に動揺を隠せないのか少し困惑した声を上げる人族、魔神族混成部隊、そんな彼等に対し当の天之御は
「事情の説明は後!!それよりも今は敵の迎撃を優先して!!」
と彼等に対して叱咤激励の様な口調で現状の突破を呼びかけ、それに触発されたのか混成部隊も武器を手に取り、妖術や魔術を発動させていく。
そこに遅れて星峰達も到着し
「兵器の数は然程多くはないわ、だけどあの形状は……」
と告げる。
星峰が兵器の形状に着目したのはその兵器が今まで交戦したどの兵器の外見とも一致しない、提供されたデータの中にも確認出来ない兵器であった為である。
「ああ……今まで交戦したこと無い奴だな、しかも只の新型って感じじゃねえ……この状況で闇雲に新型を送り込んでくるとは思えねえ、だとしたら考えられるのは」
「この先にある先史遺産自体が全く未知の存在であるという線だね……」
八咫と涙名も星峰と同様、兵器の外見を見て警戒心を強める。
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