第848話 明らかな封印
「ええ、なので此方から新規に部隊を派兵しようとも思っていたのですが……」
「状況が掴めない以上下手な派兵は犠牲や被害を拡大させる可能性もある、その事を考慮して派兵に踏み切れなかった、そんな所?」
司令官の何処か辿々しい、煮え切らない様な口調に天之御が直球で問いかけると司令官は黙って頷き、それが本心である事を伺わせる。
「まあ、慎重になるのは当然よね……何があるか分からない場所なのだから。
万が一の事態になる事も考えると厄介事を想像するのも」
天之御の発言を後押しするかのように星峰もそう告げ、一同は司令官の判断に無言ではあるものの内心で同意していた。
その言葉を受けて司令官は
「皆さんにそう言っていただけると何処か安心しますね……そうです、何があるかわからないという恐怖心が先立ってしまって……
ですが、皆さんが向かってくださる以上、私も遊んでいる訳には参りません!!
外の情報はしっかりチェックし続けます、皆さんが調査に専念出来る様に」
と自分自身に言い聞かせる様に発言する。
「その意気込みですよ、ですが空回りしない様に冷静さも失わないで下さいね」
その様子を見た空狐は司令官に対し激励しつつも同時に暴走しない様に釘も刺す。
それが終わると一同は早速エレベーターに乗り込み目的の階層へと向かう。
その階層に辿り着くと一同は
「階層は此処であっている筈だけど、周囲に何か異常は見られないわね……ただ、あの反応があった場所は此のエレベーターから離れた場所だった。
此の奥で何かが起こっている可能性は十二分に考えられますね」
岬がそう告げると空狐は
「ええ、だからこそ急ぎましょう!!」
と言って他の面々に急ぐ様に促し、一同はその場を後にして反応がある方向へと走っていく。
するとその反応があった場所の目の前は如何にも何かが隠されていると言わんばかりに硬そうな扉で閉ざされていた。
「何だこりゃ……如何にも何かがありそうだと言わんばかりに封鎖されてる此の扉は!!」
八咫が思わず大声を出さずにはいられない程、その扉はあからさまであった。
余程見つからない自信があったのか、それともそれがミスリードなのか……一同がふとそんな事を思った矢先、その扉の向こう側から何かが爆発したような鈍い音が聞こえてくる。
「今の音は……大爆発って感じの音じゃなかったけど、間違いなく何かが爆発したか、或いは被弾したような音がしたわ……」
星峰の発言にその場にいた全員の顔色が変わり、その視線は扉に集中する。
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